リスペクト-自生山那谷寺-霊と共に-霊峰月山-三度目の立ちゴケ-ワインディングロード-続・ワインディングロード-続続・ワインディングロード-交通規制@富士山スカイライン-三十年来の悲願@富士山
10泊11日
十日目248km
新五合目-富士山スカイライン-r152-r23-R246-R1-丸天-r144-R414-r17-r127-r18-r17-安楽寺-楠の湯-R136-林道-r18-r127-r17-R414-r163-R1-R52-r75-r196-土キャンプ適地
頭を緩く締め付けられるような痛みと焼肉を食べた翌朝の胸焼けにも似た吐き気に悩まされながら途中のレストハウスへと立ち寄る。伊豆へと向かえば温泉があるだろうと漠然と考えてはいたものの、具体的には何処へ立ち寄るかは考えていなかったからだ。ガラガラの駐車場に乗り入れ、地図上に"ゆ"の記号を探す。そんな中見付けた"まぶ湯"の文字。"安楽寺境内にある 150円"と説明があるではないか。寺を参拝、温泉へ入浴、しかも格安。ここに行かずして何処に行け、という位の私にとって打ってつけの場所ではないか。取り敢えずの行き先は決まった。昼飯も摂らなければならないのだが選択の余地はなく、丸天に決定する。
富士の樹海を渡る道を抜け、漸く御殿場に辿り着く。高度をかなり下げてきたわけだが、頭痛は一向に良くなる気配はない。そのあまりの気持ち悪さに道端にコンビニを見掛ける度に立ち寄り、水とブラックコーヒーを交互に買わずにはいられない。これはひとえに高度障害から来る頭痛と吐き気を、二日酔いか寝不足に因るものと勘違いする生理的要求に逆らえないからだ。コーヒーを飲み、水分を摂る。そして当然トイレによる。あたかも身体の中にあるこの頭痛の元となっているモノを排泄しようとしているかの如くそんな作業を繰り返す。
しかし、そんな行為も何の助けにもならず、さらに追い打ちをかけるかのように、胃の奥底に重く沈んだ揚げ物がさらに言い知れぬ気持ち悪さを増長させていった。
道はやがて海岸沿いを舐めるように伝い出す。体調さえよければ魅力的すぎる店が建ち並ぶのだが、今晩のツマミを仕入れようなどという気にすらなれずに、ただただ先を急ぐ。そんな海沿いの景色にも飽きかけた頃、山中へとルートを変更した。1.5車線ほどの細い山道はやがて道幅を広げる。最近拡幅工事が行われたばかりの綺麗な舗装、通過する車も少ない。ふっと入った名も無き道が素晴らしいワインディングだ。流石は東の聖地といったところか。小さな峠を越えると再び海が広がる。酷かった頭痛も少しだけマシになった気がした。
集落にはいると間もなく安楽寺を見付け駐車場にバイクを駐める。伊豆国八十八ヵ所の札所ということなのでタオルと朱印帳を手に庫裏へと向かった。ところが"観るだけで入浴できませんよ"と言われる。ツーリングマップルには確かに温泉の記号で載っていたのだが誤植であったとは。普通の温泉ならここに来るまでに幾らでもあったではないか。落胆する気持ちを抑えて朱印だけは戴き、近くの楠の湯を目指した。
外の券売機で券を買い番台で渡す。如何にも近所の人が立ち寄るだけといった銭湯のような温泉。風情はないがそんなことを言っている場合ではない。取り敢えず熱い湯に浸かりたかった。一刻も早くこの気持ち悪さを汗と共に洗い流してしまいたかった。
脱衣所には籠が並ぶだけで貴重品入れもない。番台に預けようかとも思ったのだが、日光での嫌な思いが蘇り、やめておく。籠の奥に財布と鍵を突っ込み、浴室へと進んだ。
病気の時はどうも考えが悪い方悪い方へと向いてしまっていけない。ここで財布を盗られたら、それ以前にバイクを盗まれたら、そんな考えばかりが頭を巡る。温泉に浸かりながらも曇りガラス越しの気配が気になる。のんびりしようと思って来たのだが到底そんな気持ちには為れない。もっとも熱すぎて長いこと入るなど無理な話なのだが。のぼせそうになり、綺麗な桜色に染まった身体を見ながらあがる。
"富士山に登ってきたのか?"脱衣所にいた老人から声をかけられる。一瞬何を言われたのか理解できなかったが、"あぁ、バイクに積んだ金剛杖か"と思いつき、"えぇ、お鉢巡りをしてきました"と答えた。
おじいさんは"ほら、風に当たっていき"と扇風機のスイッチを入れると中へと消えていった。ふと腕に目をやるとその色は一層赤みを増しまるで茹で蛸のようになっている。洗い流した汗よりも今流れ落ちる汗の量の方が遥かに多く、そしてのぼせ気味の頭はまだ鈍く疼く。しかし、少しは痛みが遠のいた気がするのは時間の所為であろうか。その生暖かい風に当たりながら今度こそ本当にのんびりと出来た。
吉祥山安楽寺
住所:静岡県伊豆市土肥709 仏閣マップ
電話:0558-98-0309
宗派:曹洞宗
開山:行基?
本尊:釈迦牟尼佛
札所:豆国八十八ヵ所第86番
まぶ湯
拝観時間:8時~17時
定休日:年中無休
拝観料:大人150円
参考URL
伊豆国八十八ヵ所霊場
馬場温泉 楠の湯
住所:静岡県伊豆市土肥795-2
電話:0558-98-1211
入浴料:400円
営業時間13:00~21:00
定休日:第2、4火曜
内湯、露天風呂
泉質:硫酸塩塩化物泉 無色透明 無臭
温度:54℃
効能:リウマチ性疾患 通風 創傷 高血圧症 動脈硬化症 婦人病
0 件のコメント:
コメントを投稿