2012年12月21日金曜日

Filomena Ristorante

予算$500くらい(大人8人子供3人)SCAMPI DI CORRADO ALLA VODKA $32、Villa Cerna "Riserva" Chianti Classico 2005、etc

  「次回はもう少し遠いところの話をしたいと思う」  なんて曳きをしながらも長いこと放置していたのは、U.S.Aに行っていて気軽に更新できる環境に居なかったから、なんてことは全くて、ただただ面倒くさかったからってことは、言わずもがなだろうけれども、敢えて言ってみたりもする。
  そんなこんなで、気乗りしないながらにも今回筆を取ったのは、あまりにも放置しすぎていると記憶は薄れ、ちょこっと感動した場面ですら過剰に美化されてしまったり、仔細なことではあっても重要な事柄が忘れ去られてしまったりして、なるべく旅の記録を正確に取っていこうというボクのblogを遣る上での趣旨から逸脱してしまうのではないかなって思ったからだった。

  それは、息子とワシントンD.C.のロハな美術館を練歩き、アメリカンなファーマシーでは日本では手に入らないようなdrugを仕入れ、駅に隣接したショッピングモールのBookstoreでモレスキンの手帳を買い求めた後のことだった。
  約束の時間ぎりぎりに、なんとも危なげな中華街を抜けてホテルに帰り、空港帰りの時とは違って加算されない割安かなって思えるタクシーに20分くらい乗った後に、親父が行きたいと予約を入れたイタリアンな店の前に降り立った。

 地下へと続く階段の横では、日本でよく見かける店頭手打ちうどん実演の如く、いかにもイタリアのマンマといった女性がひたすらにラビオリを作り続けている。
  その姿に誘われたのか、英語で書かれたメニューを読み解くのが面倒だったのか、オヤジはラビオリを頼んだ。ボクは食べたいものを食べたかったので安易に決定せずに、じっくりとメニューに対峙する。

  Eight Large Shrimp pan seared with Extra Virgin Olive Oil.
 Bacon, Onions, Vodka and a touch of creamy Tomato Sauce served over Linguini Pasta.

 八尾の大きなエビをオリーブオイルで炒める。
 ベーコン、オニオン、ウオッカを加えたトマトクリームソースをリングイネにかける。
 これくらいならボクでもわかる。これに下ろしたてのパルメジャーノ・レッジャーノをたっぷりとかけてもらう。


 がっつりとこってりでかなりうまい。が、パスタだけで500gはあり、これだけで軽く2000kcalを超えてしまいそうだ。ラビオリはまるで水餃子のようなデカさだし、ニョッキも一口では食べられない。なにもかもがけた違いにデカい。

 それに加え、海鮮のフリッターを摘まみながら、どうにもこうにも水っぽいとしか言いようのないビールに始り、キャンティークラシコを6人で3本空け、サービスですと出された杏仁豆腐の香りのリキュールとアニス酒にコーヒー豆を二三粒加えて飲み干す。みんなアニス酒は嫌いだというので、ボク一人杯を重ねる。
 どのドルチェで〆ようかな、なんてガラスケースを眺めていた事も忘れ、腹ははちきれんばかりである。ボクはトイレに駆け込み、少し戻した。

Filomena Ristorante
住所:1063 Wisconsin Avenue, NW Washington, DC 20007
電話:(202) 338-8800 or 1 (888) FILOMENA
営業時間:LUNCH MON-SUN 11:00-3:30PM
DINNER MON-SUN 3:30-11:00PM
公式サイト

2012年4月24日火曜日

花見

毎年恒例の花見。
 いつも通りの苦楽園口付近に陣取る。ここは酒屋が近いから何かと捗るからだ。

 今回は例年より遅れた開催ではあるが、青葉が混じるくらいの方が花煙る時期よりも生命の息吹を感じるって感じで美しいって思う。ってなんか言ってみたりするけど、それは満開の盛りを外してしまった言い訳なんて女々しいことでは決してない。

 色々な柿の種を注文できるというお店の柿の種。チーズ味が旨い。

 そして〆は「鳥やす」ってないつものコース。


鳥やす
住所:神戸市灘区六甲町1-1-6 焼鳥マップ
電話:078-842-0194
営業時間:17:00~23:00
定休日:火曜

2012年4月12日木曜日

写真

ようやくキャノンボールも終わったってことで、三宮まで十数㎞ほど軽くラン。

 アキトが最近、肉食系になってきたから唐揚げ喰いたいんすよって言うからミュンヘンへ。


 お次は元町へと移って金時食堂へ。昼まっから二階を貸し切りで宴会と事成った。

 地元へ帰っていつも通りに高田屋。

そして粉もん食べたいなっと名木さんへ。ボクは神戸風の方が好きやけど、大阪風ではここがこの辺りでは一番旨いなとは思っていたが、あえて行きはしないよなって思うくらいのお好みやと思っていたのに記憶以上に旨かった。

 金時食堂
 住所:兵庫県神戸市中央区元町通1-7-2
 電話:078-331-1037
 営業時間:10:30~21:00(月~金曜)、10:30~20:00(土曜)、10:30~19:00(日曜)
 定休日:祝日

2012年4月5日木曜日

写真

最近、すっかり、ほったらかしなので、写真でも上げておこうかと思う。
 これはサヤカとタムの誕生パーリー。

2012年3月30日金曜日

2012年3月21日水曜日

2012年3月8日木曜日

立呑処 鶴吉

予算¥1,580(生中¥380、菊正宗(熱燗)正一合¥300、酎ハイ(日ノ丸)¥250、黒霧島(ロック)6勺¥350、鶏肝のしょうが煮¥300、スジと大根のタイタン¥サービス)

 おっと、いつまにやら二週間も間が開いてしまったが、ボクは全くもって旅をしていなかった、ってわけでもないんだ。その証拠に、今年に入ってからお山に登らなかった週は一度たりともないわけだし、そのお山が滋賀の雪山なんかだったりしたもんだから妙に懐具合が寂しかったりしているわけだ。
 そんな日常的な気配さえする在り来たりの山行のとある一日を、問わず語りに呟いてみようと思う。

 あれは忘れもしない一月は下旬?のある一日のことだった。金剛山を登って、方違さんで祓ってもらって、湊潮湯で湯浴みをし、晴一で腹を満たした後でのことだった。いつもどおりに消費した分の燃料補給に、と湊へ赴いていたのだけれど、田宮酒店は休みやし犬吉が開くまでにはまだ時間があった。そこで何とはなしに犬吉に似た名前の鶴吉って立呑屋を訪れたのだった。
 
 L字型のカウンターには、円形に切り抜いた板が座面となった19㍑の空き樽が12、3ほど据え付けられている。そしてカウンターの上には大鉢に盛られた料理。雑多に拡げられたままの新聞。奥のボードに並ぶ迷うほどのアテの数々。おでんの鍋がコトコトと音を立て、圧力鍋がシュンシュンと湯気を振りまく。地元民しか訪れませんってな真っ当な立呑屋な佇まいがなんとも居心地がよい。
 とりあえず頼んだ生中を片手に腹は空いてはいないがアテのひとつも頼まなければな、とメニューを睨みつけるが、なかなかに決めかね、大鉢の中身を尋ねてみたりしながら結局のところ、普通に無難な鶏肝なんてところに落ち着いた。生姜の利いた鶏肝もまた、特に洒落たワケでもなく濃ゆめの味付けが酒を勧める可もなく不可もなくな真に真っ当な立呑屋のアテで、これもまた嬉しくもあるのであった。

 「ちょっと食べてみ」と常連さんに小鉢が差しだされる。おもむろに頬張り、ブホッと吹き出す。
 「熱すぎるわ!」と何ものかに遣り場のない怒りを露わにする。
 「アホやなぁ、熱いことなんて分かり切ってるやろ」と女将さんは呆れる。
 「そない熱いなんて思わへんわ」なんて憤懣やるかたない様子でぶつくさと歯切れの悪い言葉を続ける。
 「そちらさんもどうぞ」とご相伴に預かったのは薄めのダシで炊かれたスジと大根で、先ほどまで蒸気を振りまいていた鍋の中身であった。ボクはブホッといかないように小さく切り分け冷まして頂く。そして気になっていたメニューについて質問してみた。各種酎ハイが並ぶ中の「梅ざんまい」の三昧具合とか「日の丸」とは何が入っているのかとかを、だ。練り梅に梅干と梅シロップをたっぷりと加えたのだと云う。かなり甘いけどな、と付け加える。それなら「日の丸」は梅干だろう、と予想通りの答えが返ってきた。

 話題がいつしか地震の話へと変わっていったのは、つい先日富士山で地震があったし、震災当時ボクは堺に避難していたのだから、当然と云えば当然の成り行きだった。
 もちろん堺は地震の被害など全くと云っていいほどなかったのだが、ただ、当時勤めていた堺市内の会社への道は大渋滞しており、普段の五倍も時間がかかったそうな。
 そんな他愛もない話を積もり重ねていったわけだが、今思い返してみてもあまりと云えばあまりにすぎるほどに覚えてなくて、気がつけばいつも通りに水道筋あたりで呑み重ねていたのだった。
 
 偉そうに、旅だの山だの云っていたわりに近場過ぎて日常から全然離れていなかったりもしたので、次回はもう少し遠いところの話をしたいと思う。

立呑処 鶴吉
住所:大阪府堺市堺区出島海岸通1-12-19
電話:072-245-5337
席数:カウンター12席(生樽が椅子)



2012年2月22日水曜日

みよちゃん

予算¥1,500(剣菱一合熱燗¥600x2、付出(おでん、スジ、まるてん)¥300)

 さほどオイシイ店があるわけでもなく、さしてヤスイ店があるわけでもないのだが、西院のあの辺りや大宮のこの辺りは、以前壬生に住んでいたときから心惹かれるものを留め置いて止まない。

 「付出、おでんでええか?」「おでんしかないけどな」って表の赤提灯にはおでん以外も書いてあったん違うんか!なんて心の中でツッコミを入れながらも「なんにする?」「スジにするか」「丸天もちょうだい」「それだけでええか?」「ええで」と素直に応じるボク。
 そして瓶ビールを追加していく常連さんに混じり、ポツリポツリと言葉を重ねていく。

 祇園なんて華やかにして縁遠い世界よりも、場末感たっぷりな寛遊園こそが、ボクにとってもっとも京都らしい京都である。

みよちゃん
住所:京都府京都市中京区大宮通四条上ル錦大宮町 寛遊園内
営業時間:22:30LO
カウンター7席



2012年2月16日木曜日

やきとり おおしば

予算¥2,450(お通し(マカロニサラダ)¥300、たん¥110x2、子袋¥110x1、しろ¥110x2、ぼんちり¥110x2、バルラリーセット¥800(若鶏、しろ、かしら+子袋 各1、もつ煮込み、多満自慢 純米無濾過120ml)、キリンクラシックラガー大瓶¥580、花陽浴(はなあび)純吟雫酒120ml¥600)

 福生のやきとり屋おおしばへ。
 「やきとり」っていってもこちらの「やきとり」は半分くらい「やきとん」なわけで、ボクが頼んだのも半分以上「やきとん」なわけだった。
 すべて「塩」で頼んだその横には、コチュジャンにニンニク、一味、砂糖を加え練り合わせたようなお味の、おおしば特製の辛みそが添えられていた。これがなんとも酒を勧めるお味で、バルラリーセット(おまかせ3串もつ煮込み福生の地酒(3/11まで))までも追加した。
 大振りのやきとり(やきとん)できっちりと小腹を満たし、ほどよく旨い酒で微酔いになっての2,450円なんて安すぎるな、って思っていたのだが、それもそのはず花陽浴を付け忘れていたようだ。もっとも、本来の支払いである3,050円であっても、結構安かったな、って思ったりもしたのだろうけれど。
 
やきとり おおしば 拝島本店
住所:東京都昭島市松原町4-12-6
電話:042-545-6922
営業時間:17:00~23:00(日~木曜)、17:00~24:00(金、土、祝祭日前夜)
定休日:不定休
公式サイト



2012年2月14日火曜日

2012神戸バレンタイン・ラブラン

結局、ほとんど練習せずに参戦となってしまったところの「バレンタイン・ラブラン」
 案の定、14kmを過ぎると膝が痛み出し、16kmに至っては足の裏が疼いてガックリとペースが落ちる。アミノ酸を飲みつつの、騙し騙し走りつつの、イチ時間ゴジュウナナ分。
 時速10kmほどのペースで21kmくらいってなら息ひとつ乱れやしないけど、いろんなところが痛みだすのは、やっぱ走り込みが足りないからなんだろう。四ヶ月かけて100kmくらいしか走ってないんだもんな、だって走るのキライやし。
 目的は呑み会なんだからタイムはどうでもいいんだけど、ポンマジくんやジュンマンみたく10分20分台までいかなくても、やっぱり40分ぐらいは狙いたいってところ。キャノンボール的な意味で。
写真

2012神戸バレンタイン・ラブラン





写真

2012年2月6日月曜日

ポーアイラン

 バレンタインラブランを来週に控え、本コースを一度くらいは走っておこうと今回のサンデーラン。もっとも今ココで走れるってのは、雪山でビバークせずに帰ってこれたからってこと。














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2012年1月31日火曜日

やきとり まさや

予算¥7,750(男1人女1人)(生中¥210、ハーフ&ハーフ¥210x5、黒ビール¥210、熱燗¥210x1、角ハイボール¥210、ももにく¥314、ねっく¥209、ぎんなん¥314、ずり¥209、ハツ¥314、とりはらみ¥209、豚バラ¥261x2、うずらたまご¥209、しそ巻き¥314、ささみ明太子¥314(各二串)、漬物¥314、つくねポン酢¥314、しらこ(鶏の睾丸)¥314、焼きおにぎり(2ヶ)¥314、鳥スープ¥209、選べる付出¥210x2、持ち帰りセット¥1,050)

 「まさや」って云うと、学生の頃にお互いの懐具合を試算しながら「もう一本頼めるね」なんて感じでカノジョと楽しんでいたチェーン店の焼鳥屋ってイメージやったのに、この度「結構旨い焼鳥屋が在るわ」ってな成り行きで連れて行かれたその「まさや」ってのは、なかなかにいい感じであって、塚口で呑む時にしばし利用する店となってしまっていた。

 生中、焼酎、ポン酒、酎ハイにハイボールってな数々が、それぞれ各々¥284(税込)。カウンターにおいては期間限定で更に安くての¥210(税込)ってのは確かに魅力的過ぎるって云うくらいに魅力過ぎなわけで、なんちゃらかんちゃら津津浦浦にして、久しぶりというか二三日ぶりに散々な具合に呑み耽っていた一夜だった。

やきとり まさや 阪急塚口店
住所:兵庫県尼崎市南塚口町2-16-2
電話番号:06-6429-3210
営業時間:17:00~03:00(L.O.02:00)
定休日:不定休


2012年1月18日水曜日

やきとり 鳥政

予算¥2,280(お通し(〆鯖、枝豆)、鳥ニンニク串焼¥120、カシラ¥100、レバー¥100、たまねぎ¥100(all塩)、ます酒¥700、会津ほまれ辛口(もっきり)¥350、あがりみそ汁、みかん)

 地元ナンバーで一杯の駐車場を抜けて暖簾を潜ると、これまた小上がりからカウンターまでほぼ満席状態で、入り口近い片隅にひとつだけ席が空いていた。

 まず頼んだのは冬季限定のます酒。カウンターから眺めるその先に新酒の樽が鎮座しているのだから、まずそれを頼まぬことには先へは進めない。
 酒には合わぬ枝豆を摘みながら、焼鳥屋とは名ばかりの居酒屋的多彩なメニューとにらめっこしていると「お通しまだでしたよね」と多彩な造りの数々を告げられる。
 お通しながらにも注文を受けてからキッチリと皮をひかれた〆鯖は、焼鳥屋だというのに海鮮系居酒屋に負けぬほどの品であり、都会にあるよりも待たされた注文も一向に苦にならなかった。

 注文は、北関東から福島辺りでは「ねぎま」並に名を連ねる「鳥ニンニク串焼」に、焼鳥屋なのに平然と豚肉を出す関東ならではの「カシラ」それとボクの焼鳥屋指標とも云うべき「レバー」と、やっぱり野菜も摂らなきゃねと「たまねぎ」。これらを皆一串から頼めるってのが、お一人様には結構嬉しい。

 焼場が忙しくなると「これでも摘まんどいて」と小鉢を差し出し「いつもの頼みます」と代行を待つ間にはお飴さんが仰山並べられ「チェック」を頼むと「ほれ、あがりみそ汁」とカウンターに蟹の出しの効いた椀が置かれた。そしてお土産のみかん。

 近場に寄ったらついつい覗きたくなる焼鳥屋が、ここ黒磯にはある。

やきとり 鳥政
住所:栃木県那須塩原市宮町4-16
電話:0287-63-4913
営業時間:17:00~23:30(L.O.23:00)
定休日:日曜(月曜祝日の場合営業)


2012年1月6日金曜日

酒場ヤマジ

予算¥2,050(サッポロ黒ラベル大瓶、カクテスサワー(焼酎千石20%+カクテス)、にごり酒正一合、熱燗正一合、おもろ¥400、このしろの酢¥300、天豆腐¥250)

 以前袋井を訪れた折に、たまたま立寄った「ヤマジ酒店」で、たまたま「どまん中」を買い求め、たまたま併設された「酒場ヤマジ」を見つけて、一度くらいは立寄ってみたいな、と思いつつもいざ訪れてみるとなるとお盆休みだったりして、なかなかに中へと入ることができないでいた「酒場ヤマジ」へとまた性懲りもなく向かった。

 そしていざ門を潜り酒屋の奥の路地を抜け、そこにある硝子戸を開いてみるもだあれもおれへん。とは云っても鍵が掛かっているわけでもなく、休みというワケでもないみたいやしな、なんて戸惑っていると、後ろから付いてきはった方が「居ませんか、呼んできます」と言わはるので、もう帰ったろかなんて思いを抑えしばし待った。
 
 まずは大瓶からはじめ郷土料理の「おもろ」を頼む。入口に「おもろあります」って貼紙があったし、幾度となくこの地を訪れてはいるが一度として「おもろ」を食べたことがないわけで、やはりその辺りは外されへんかった。そしてそれは予想以上に豪快な「おもろ」であって、豚足丸ごと一本出てくるってな具合やった。その姿たるや、西成辺りの豚足がほんのりと紅を注した遊女であるほど上品に思える無骨さであり、今まさに農作業を終え、頬っ被りを外した浅黒く日に焼けた村娘さながらってな感じであった。その酒と醤油でじっくりと煮込んだ「おもろ」の味わいはと云えば、たっぷりとかけられた胡椒の香りといい、添えられた山葵の清涼感といい、関西のいわゆる「豚足」とはまったく違った独特な味わい深いものだった。

 この常連さんばかりが集うこの店に見慣れない顔は珍しいそうで、色々と質問攻めにあっていく。どこから来たのか?なぜこの店を知ったのか?そんな在り来りでもあり真っ当でもある問いかけに答えていると、「神戸から来た人が居るって聞いて」なんて娘さんまで現れ、同じような質問が繰り返されていく。そんな受け答えの端々に「そうなんだー」などと標準語的な合いの手が入る。それは常連さん達への言葉遣いと異なった他所もんへの気の使いようみたいな感じがして、その事が気に掛かり上手く話に乗ることができないでいた。

 後から訪れた常連さんに倣いカクテスのサワーとかいうもんを頼む。「生ぶどう酒を加えたレモン果汁入りアルカリ性炭酸飲料」ってなそれは、危うく生産中止になるところをお願いして作ってもらっているのだそうだ。ハイボールのまがいもん的な「ホイス」や、当時高価だったビールの代用品な「ホッピー」なんかよりも、このシャンパンもどき的な「カクテス」の方がボクの好みに合うのだった。

 程良く酔いも廻り、勝手に鼻に突いていた東京弁的な響きも気にならなくなって心地よくなってきた頃合ににごり酒へと遷る。わざわざ新しい一升瓶を開けてくれて「冷蔵庫に入れていても発酵が進むから、昔は穴の開いた栓しか出来なかったんです」なんて話を聞きながらこのしろを摘む。

 さて次は何にしようかと思案しているとそれを見透かされたように「天豆腐」が美味しいよ、なんて勧められる。湯豆腐にキスの天ぷらを乗せてとろみのきつい甘い天つゆをたっぷりと注いだその濃ゆい味わいは、不思議と熱燗に合う。「この天豆腐ってのもこの辺り食べ方なんですか?」と聞いてみると「わたしが好きだから出しているだけ、美味しいでしょ?」と軽く返された。

酒場ヤマジ
住所:静岡県袋井市川井416
電話:0538-43-3534
営業時間:16:00~21:00
定休日:日曜