リスペクト
R8ならいくらでも在るだろう、そう思い、あの時入れなかったのが悔やまれる。警告灯が点灯してから30kmは優に走ったであろうか。地図でガソリンスタンドの位置を確認する。この先5、6kmほど行けば一軒在るようだ。
それより今から敦賀まで戻れば給油出来るかもしれない。然し、旅を始めて早くも引き返すというのは何となく嫌だった。
結局はそのまま先へと進むことに決めた。何年も前に閉店したであろうGSを幾つか通り過ぎ、先ほど確認したGSの前へと差し掛かる。案の定まだ開店していない。そのまま前を通過しようとした時フッと嫌な気持ちが過ぎった。
隣のローソンに入り、この先の道を確認する。これから山道に差し掛かる様だ。万が一ガス欠になり、荷物満載のバイクを押して歩く。そんなのはたとえ100mでもごめんだ。
で尋ねてみるといつも七時半頃開くという。待った方が得策かもしれない。思いがけず一時間半ほど時間が空いてしまった。
ここで仮眠を取れれば丁度良いのであるが、睡魔の訪れる様子は全くなく、ただただ怠い体を引きずり、時間を潰すだけである。
それにしても無意味に天気が良い。日も高くなり、ジリジリと肌を焼いてゆく。時計に目を遣るが、さっきから2、3分しか経っていない。そんな行為を何度繰り返したのだろうか。
ひっきりなしに車が駐車場へと入ってくる。そして間もなく出て行く。自分一人だけ色々なモノから取り残されたような気分だ。
漸く給油をすませ、山道を抜けていく。今度は睡魔との戦いになってきた。
先ほどまであれほど渇望していたのだが、今となっては邪魔者でしかない。気を抜くと直ぐに意識を失ってしまう。何度センターを割りそうになった事か。
コンビニを見掛ける度にコーヒーで無理矢理目を覚ます。こんな事を繰り返していては、何時か本当に事故ってしまう。
那谷寺の看板を見つけ、迷わずルートを変更した。
"那谷寺"
"自生山岩屋寺"曾てはそう呼ばれ、白山修験者たちによって栄えた。
後に花山法皇をもって「私が求めている観音霊場三十三カ所はすべてこの山にある」と言わしめ、西国三十三カ所の第1番、那智山の"那"と、第33番、谷汲山の"谷"をとって"那谷寺"と改めたという。
まぁ、それは言い過ぎだとしても、奇岩遊仙境等に見られる一風変わったその景観、修験寺院によく見られる洞窟に沿うように造られた舞台造の拝殿、深く苔むした参道、見事な彫刻の施された護摩堂など観るに値する物は多い。
残念ながら、小振りな三重塔は修繕工事中で全容を眺めることが出来なかったが、山深き景観に融け込む姿はさぞかし美しき物であろう。
ただ、本堂などの後年の補修方法は些か残念な物も見受けられる。その様なことが塔に於いては無いことをただただ願うばかりである。
自生山那谷寺
住所:石川県小松市那谷町ユ122
電話:0761-65-2111
宗派:高野山真言宗別格本山
本尊:千手観世音菩薩
開山:泰澄法師
札所:北陸三十三箇所12番、北陸白寿三十三観音11番
拝観料:大人500円、特別拝観(重文書院,庭園,普門閣,宝物拝観)大人200円
【国重文】
護摩堂:(S16.11.06指定)桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、向拝一間、檜皮葺、江戸前期(慶安2)
三重塔:三間三重塔婆、檜皮葺、江戸前期(寛永19)(H20,3,31まで修繕工事)
鐘楼:桁行三間、梁間二間、袴腰付、入母屋造、檜皮葺、江戸前期(慶安2)
本堂本殿:桁行三間、梁間二間(岩窟内にあって屋根を造らず)、桃山(慶長2)
本堂唐門:桁行一間、梁間一間、向唐門、こけら葺、桃山(慶長2)
本堂拝殿:懸造、桁行三間、梁間二間、一重、入母屋造、正面千鳥破風及び軒唐破風、背面両下屋根付、檜皮葺、桃山(慶長2)
書院及び庫裏:(S28.11.14指定)御成の間(床、棚付)、琴の間、仏間、東八畳(床付)、西八畳、板間、鞘の間(床付)、入側、土間二カ所及び下部屋より成る、一重、入母屋造、銅板葺、江戸前期(慶安2頃)
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