リスペクト-自生山那谷寺-霊と共に-霊峰月山-三度目の立ちゴケ-ワインディングロード-続・ワインディングロード-続続・ワインディングロード-交通規制@富士山スカイライン-三十年来の悲願@富士山-温泉?@まぶ湯
10泊11日
十日目248km
新五合目-富士山スカイライン-r152-r23-R246-R1-丸天-r144-R414-r17-r127-r18-r17-安楽寺-楠の湯-R136-林道-r18-r127-r17-R414-r163-R1-R52-r75-r196-土キャンプ適地
すこしだけ元気を取り戻しバイクに跨る。折角伊豆まで来たのだから少しくらいは走っていこう、そう思えるくらいまでは回復していた。地図を広げ、オススメの道を選ぶ。するとr127(旧西伊豆スカイライン)という魅力的な道が近くを通っているではないか。
R136を辿り、旧道へと逸れた。黄昏時の淡い木漏れ日が、打ち捨てられた路面に柔らかく染みついていく。路肩には落ち葉が厚く積もり、枯れ枝が散在するそんな道。殆ど車が通ることは無いようだ。とはいえ見通しも悪く、路面も荒れているとなればとばすわけにも行かない。
やがて現れた十字路。左折し、北へと向きを変える。道は見通しも良く、適度なカーブを繰り返しながら下っていく。
しかし、ここも又落ち葉が積もり、1.5車線ほどの道は実質1車線分しかなかった。私は好きだが、こんな林道の様な道を奨めるなんて間違っているだろ、と思いながらも徐々にペースを上げる。そして現れる集落、やがて繋がる見覚えのある道。間違っていたのはこっちであった。今し方気持ちよく飛ばしてきた道はただの林道であったのだ。
黒川キャンプ場を目指し、一国を西に進む。途中コンビニで酒を仕入れる段階になって気付いたのだが荷物が減っていた。おそらくは伊豆の山中で落としてしまったのであろう。
"母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね"という"人間の証明"の台詞が思い浮かび、呟いた。
自動販売機の灯りが浮かび上がるだけのうす暗い田舎道を分け入っていく。そんな中見付けた"キャンプ適地"の看板。道路脇には僅かばかりの駐車スペースと谷川へと下る階段が設けられていた。河原へと下る。小川を挟んだ広い空間にはファミリー用の巨大なテントが二つ。発電機が唸りを上げ、ライトは煌々と辺りを照らしていた。テント場には大きめの礫が転がり容易に整地など出来そうにもない。これでは駐車場の方がマシというものだ。
道路側にテールを向けるように駐め直し、その奥にテントを広げる。星空は見えない。蒸し暑いがフライを張り、潜り込んだ。
そばの草むらからは虫の音が聞こえる。それを犬小屋から響く遠吠えが打ち破る。ときたま道を行く車はテントを照らしていく。それが不快ではあったがいつの間にか眠りについていた。
--------------------------------------------------------------------------------
ぼくの帽子 西条八十
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
森林公園やすらぎの森 黒川キャンプ場
住所:静岡市清水区西里1310-1
料金:無料
設備:管理棟、炊飯棟、トイレ、吊橋、あずまや、親水護岸、ベンチ、駐車場
直火禁止
公式サイト
0 件のコメント:
コメントを投稿