2008年10月30日木曜日

ちく満@宿院

予算¥900(温盛蒸籠一斤半¥900)

新蕎麦の時期。というわけで、蕎麦を食べに堺へと出かけた。

"ちく満"
もともと蕎麦の食べ方は蕎麦粉に熱湯を注ぎ入れ練った"そばがき"という形からはじまり、それがやがて麺状に切り蒸籠で蒸す"温盛"となり、その後、茹で上げた蕎麦を一度冷水で締める現在のような蕎麦の食べ方になった、と聞いたことがある。
ここ、ちく満はその"温盛"の専門店。メニューは一斤と一斤半の二種類しか無く(以前は二斤もあった)、他には酒とツマミがあるだけである。店に足を踏み入れると先ずは"一斤ですか?一斤半ですか?"と聞かれてから、座敷へと通される。工場にしか見えないその外観からは想像できない落ち着いた設え。1695年(元禄8年)創業当時そのままの姿ではないだろうが、薄暗く、閑寂な趣が良い。

今から蒸すので少し時間を頂きます、と言う。今後の予定を考えると寧ろ時間を潰したいくらいなので丁度良かった。
窓辺から差し込む夕暮れ時の柔らかな光の帯を眺めながら、蕎麦碾き機の立てる音に耳を傾ける。誰も居なかった座敷をポツリポツリと人が埋めていく。蕎麦があがるまで酒を傾ける人、観光客らしく矢鱈と調度品を褒めている人、言葉を交わすわけでもなく静かに向かい合う老夫婦。"敦盛"もそうだが、温盛を出す店は何故かあの蕎麦屋のイキった感じがなく、ノンビリとした空気に満たされている、そんな感じがする。
そんな時間をゆるりと味わい、待望の温盛を味わう。先ずは生卵を緩く解き、半分ほど椀に入れる。そこに熱い汁を注ぎ、熱々の蕎麦を浸す。かなり濃い色合いは味の濃さも彷彿させるが、差ほど辛くない。鰹に味醂の甘みだろうか、まろやかな甘みが鶏卵により更にふくらむ。
きりっと締められ縁の立った"ざる""盛り""せいろ"とは違い、弾力のあるこの蕎麦は喉ごしを味わうものではない。その湯気と共に立ち上る豊かな蕎麦の香り、それと上顎に吸い付くような食感、柔らかな蕎麦の風味、それを楽しむものだ。
蕎麦を平らげた後、残しておいた溶き卵を加え、火傷するほど熱い"かまくら"(蕎麦湯)を注ぎ込む。するとかき玉のお吸い物が出来るという按配だ。これが堪らなく旨い。"じゃじゃ"の〆に"ちーたんたん"があるように"温盛"の〆にはこの"かまくら"がある。

※平成21年2月21日より値上げするそうです。一斤半でいえば九百円だったのが千円となります。

ちく満(ちくま)
住所:大阪府堺市堺区宿院町西1-1-16 蕎麦マップ
電話:072-232-0093
営業時間:10:30~21:00
定休日:月曜(祝日の場合翌日休)
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