2007年7月5日木曜日

天の真名井

大神山神社2

一泊二日 二日目568km
r45-地蔵峠-新小屋峠-鍵掛峠-r45-r158-r24-大神山神社(本宮)-r24-天の真名井

大山へと真っ直ぐに続く道。前方に望むその頂が、見え隠れしながら徐々に大きくなってゆく。弥が上にも感情が高ぶるアプローチなのだが、気持ちは冷めていった。
先ほどから降り始めた雨は、容赦なく路面を濡らし続けている。BT014よりはマシとはいえ、Qualifierでも雨天時のグリップには不安がある。リアに荷物を満載の時など尚更だ。
大山に差し掛かっても路面状況は一向に良くはならなかった。スピードも控えめに浅いバンクで抜けて行く。

"大山に来たのは間違いだったかもしれない"大山を1/4程廻った頃にはそう思い始めていた。それでも冷え切った体に鞭打ち、大神山神社を目指す。ここまで来たからにはせめて、大神山神社だけでも行かなければならない。そうでなくては何のために来たのか分からない。
いつもなら楽しいはずのワインディングも、最早、ノルマをこなすだけの仕事でしかなくなっていた。もう多くは望まない。この先、雨が酷くならない事だけを祈っていた。

大きく回り込み大山の西側に差し掛かった頃、ふとあること気付いた。いつの間にか路面が乾いている。
タイヤの温もりを感じながら、少しペースを上げてみる。徐々にリアの重さにも慣れはじめてきた。右へ、左へ、上へ、下へ、何も考えることなく体が勝手に反応する。今までの抑圧された欲望が解放される。楽しい。浮遊感は益々増していき、ついついオーバーペース気味になる。
緩い左カーブを加速しながら抜けていくと、同じく左カーブを抜けてくるダンプが目に入った。お互いセンター一杯まで脹らんでいる。一瞬ダンプに突っ込む自分を想像する。ブレーキを緩く握り、左に大きくリーンしていた体を立て直す。その瞬間、既に擦れ違っていた。
右足の爪先、右の肩、右のステアリング、確かに其処に擦れた感触が残ってる。実際には当たってはいない。1cm、否、数mm程の間隔を通り抜けた風圧であろう。当たっていたら唯ではではすまない。こっちの寿命も縮んだが、運ちゃんもビックリしたことであろう。申し訳ない事をした。
もっとマージンを取らなければ幾つ命があっても足りやしない。

すっかり緊張の糸が切れてしまった。ペースを落とし、大神山神社奥宮から真っ直ぐ下る道を米子市街地へと下りてゆく。
大神山神社本宮は奥宮に比べると感じるモノは少ないが、今回も無事であったことを感謝し、旅の安全を祈る。

さて、此処が折り返し地点だ。登りたくて病まなかった船上山へ。
その前に、折角であるから天の真名井に寄っていく。標識の案内通りにバイクを進める。広がる田園の中を抜ける頃には期待は萎んでいった。
曾ては美しき名水で在ったとしても、今は面影を留めていないのではと。山深い深淵な聖地を思っていたのだが、辺りは俗な風景でしかなかった。やがて一つの集落へと入り込んでいった。
そこで再び裏切られることとなった。そのあまりに澄み切った泉は山陰を代表する名水と云うのも納得するに余りあるものだ。船上山登山に向け、水を頂戴し、大山へと戻る。大山を走りに来たときには再びこの地も訪れよう。

(船上山行宮に続く)

大神山神社(本宮)
住所:鳥取県米子市尾高1025
電話:0859-27-2345
祭神:大穴牟遅神
神紋:二重亀甲劔花菱
旧社格:國幣小社
神格:正五位下
本殿:大社造2.5坪
札所:出雲国神仏霊場第9番、伯耆国二宮
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天の真名井
住所:鳥取県米子市淀江町高井谷47
名水百選
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