2010年1月31日日曜日

新見民@焼津

予算¥435(おでん(玉子¥50、モツ¥50x2、黒ハンペン¥40x2、角天¥40、ジャガイモ¥40、こんぶ¥40)とりめし¥85)

最近のボクは、銚子とか、焼津とか、釧路だのといった漁港を訪れたからには、新鮮な海の幸を堪能しなければならない、といった観念に固執しすぎているのでは、思い始めました。
焼津に行っては寿しを摘み、銚子では海鮮丼を掻き込んで、釧路でキタキツネを眺める。そんなステレオタイプな旅の仕方は、名札を付けさせられた観光客が、間の抜けた籏を持った添乗員にぞろぞろと連れ回されて、分刻みのスケジュールで辿るお仕着せられた内容と、何処が違うのだろうか、と思い始めてきました。
かといって、目的もなく町をぶらついていたところで勝手にフラグが立つわけもなく、仕方なしに、Bグルでも探しましょか、と、メディアに踊らされるような選択をしたわけです。
本当の事を云うと、ちょっと海鮮に飽きていただけですけどね。

【新見民】
焼津と云えばおでんが有名だったよな、と思い、おでん、おでん、と、おでんを探し彷徨きます。
いざ探してみるとなると、中中見つからんもんだな、と、小一時間ほど彷徨ったあげく、やっと、良い具合に煤けたおでん屋を見付けました。
こんな店には酒は置いていないだろうな、持ち込みかな、と向かいにある"スーパーもちづき"に酒が置いてあることを確認しに行きます。もちろん、イルカが普通に売られていることも確認します。

硝子戸を潜ると、おでん鍋を囲むように置かれた椅子は一杯でした。引き返そうとすると、わたし、もう帰るから座って、と、ひとつ席を空けていただきました。

壁に貼られた品書によると、30円の"のり巻"から一番高い物でも"赤飯"、"ちらし"の90円という安さです。もちろん、値段など気にせずに、好きなだけおでんを選んでいきます。
そして、静岡おでんの流儀に従い、横に置かれた"けずり粉"と"青のり"混ぜ合わせた物を振りかけて頂きます。

何処から来たの、との問いに、神戸からです、と返します。
"神戸"と聞くと、当然のことのように、地震の話になります。それだけ、いつ訪れるのか分からない東海地震に対する恐れを、ここに住まう人人は、持ち続けているのです。
お盆に地震があって、と続きます。その時のことをボクも憶えています。あの日、あの時、ボクは水戸にいました。

2009年8月11日午前5時7分。
地震だ、と、飛び起き、気象庁の地震速報をすぐさまチェックしました。以前からこの時期に大きな地震があるとの噂があったからです。しかし、リロードをくり返しますが、発表されません。それなら、と、2chのニュー速を開きます。そこでは、すでに、かなりのスレッドが立っていました。震源、駿河湾。伊豆、焼津で震度6弱。そのカキコを目にしてようやく、その程度なら大した被害もないだろう、と胸を撫で下ろしたのでした。

黒ハンペンが入っているのが、焼津おでん、と、云われ、あぁ、そうか、"静岡おでん"と"焼津おでん"は違うのか、と思いました。
しかし、それなら、何処が違うのだろう?静岡おでんは食べたことがないのでよく知りませんが、確か、真っ黒な出しで、けずり粉をかけて、駄菓子屋の店に置いて居るんだったかな?などと、記憶を手繰ります。で、焼津おでんは、"黒ハンペン"に、ここでは入っていませんが、"へそ"が入っていたような?具の違いだけ?よく分かりません。
それにしても、この"黒ハンペン"といったものは、練りモン大好きなボクをしても、おや?な味わいです。見た目は"じゃこ天"っぽいのですが、小骨のジャリジャリした食感や、青背の魚らしい香りや味わいもありません。そしてもちろん"ハンペン"のフワッとした舌触りも無いわけです。なんというか、味も香りもない平たく伸ばした油粘土を食べているような食感です。
もしかして、食べ方を間違っているのかな?と、鍋の片隅で温められた味噌に浸け、田楽にして食べてみますが、より一層不思議な味わいとなってしまいました。

おにぎりもおいしいわよ、と勧められます。それでは、と、"とりめし"を頂きます。
刻み生姜がアクセントとなったそのおにぎりは、不思議と懐かしく、優しい味がします。
遅めのお昼を摂る看護婦さんや、学校帰りの高校生が、おにぎりを2コ、3コとひっきりなしに買い求めて帰るのも頷けます。

そんなこんなと、共に鍋を囲み、茶飲み話を繰り広げたご婦人方は、新日本婦人の会の会合帰りだとか。
おでん(関東煮)というと、うっとこでは立呑みなアテですが、こちらさんでは、井戸端会議の茶菓子的なノリのようです。

そんな気安い憩いの場なこの店も、道路拡幅により、来年には姿を消しているとか。
都市整備、再開発の名の下に味気なくなっていくのは、この町も同じようです。

新見民
住所:静岡県焼津市本町5-6-21 和食マップ
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