2009年5月8日金曜日

本多@三木

予算¥1,700(餃子(8ヶ)¥400、天まど焼(豚)¥700、キリンラガー大瓶)

三木には、"ここのんを食べると他では食べられへん"という人が居るほど、独特な餃子を出す店がある。お好み焼屋なのに。

【本多】
暖簾を潜ると店中に人気はなく、電気も消されていた。奥から微かに聞こえてくるTVの音にむかって、二三度呼びかける。

「なんでこんな時間に来はったん?もう二時半やで」
顔を出すなり、おばちゃんはこう言った。

暖簾が出ていたのに中休みだったのかな?と不安になりはしたが
「火ィ入っとうから、座っといて、何にする?」
の言葉に一安心し、油煙に塗れ薄汚れたメニューを眺めた。

「餃子と、、、天まど焼って何ですか?」
と尋ねてみる。
「お好みに蕎麦入れたモダン焼ってありまっしゃろ、それに卵を入れたヤツや、卵がアカンのやなかったら旨いと思うで」
と、返事が返ってくる。
モダンを窓枠に見立て、そこに落とした卵を月とするのだろうか?粋な名付け方だな、等と思いながら
「それじゃあ、天まど焼を牛で」
と頼むと
「何で牛なん?あれか、インフルエンザやからか、豚の方が旨いで」
と言わはる。
「それじゃあ、豚で」
と変えると
「牛もあるで、豚でええか?ええか?」
と豚に決定してしまっていた。

具材を取りに奥へと下がったおばちゃんに
「ビール貰いますね」
と声をかけ、返事を受けて、冷蔵庫より冷えたラガーとグラスを取り出した。
そこで勝手に栓を抜いても良いものかどうか、一瞬ためらいはしたが、上に置かれた栓抜きと王冠に倣い、それを開けた。

そのあとは、焼き上がりまで雑談に興じる。
三木鉄道の話しに始まり、金物まつり、おばちゃんの高校時代の通学から、震災、金物、小山ロール、観光案内に"しにせのちから"までと、餃子に天まど焼を平らげ、ビールを飲み干しても尚、話は尽きなかった。

この店の名物は”餃子”。
常連さんが神戸から持ってきた餃子がきっかけで、50年前からの看板メニューになっているという。
「この菜切り包丁で玉葱を刻んでんねん」
とすっかり丸くなってしまった包丁を見せて貰った。

「不思議なもんでな、機械で刻むより、手で刻んだ方が、美味しくなんねん」
「焼きもな、同じ材料使こうても、妹と私じゃ味が違う、言われますねん」

当初は、玉葱に青葱、それと”肉の平井”さんに頼んだ牛ミンチで作っていたが、青葱よりニラが合うかな、と今はニラになったそうだ。
玉葱にニラ、それと牛ミンチの餃子など、ここ以外に無いのではないだろうか?
玉葱に牛の脂の甘みが加わった、かなり甘めの餃子。これを酢醤油にお好みで七味を加えていただく。遠く西脇、和田山、姫路からも客が足を運ぶというのも頷ける個性的な味わい。

「にいちゃんにあげよ、思うて包丁捜したけど無かったわ、こないだ他のお客さんにあげてしもて」
の言葉に恐縮しながら、店を後にした。

このあと紹介して貰った福居さんトコに包丁を買いに行ったのだが、それをここで書くと長くなるので、それはまた別の話。
多分書かないけど。

本多
住所:兵庫県三木市福井1-9-17 餃子マップ
電話:0794-82-2234
営業時間:11:00~19:00
定休日:5、16、23、26日
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