予算¥500(ブレンドコーヒー¥500)
再度山を巡っているとメールの着信音が鳴った。こんな山間で珍しいな、と確認する。ユキからだった。
"今日は山かな?今からジャムに行こうかと"
正解だ。もっとも山か寺かツーリングと言っておけば大体は当たる訳だが。
"jazz & cafe JamJam"
先に入っているという彼女を追いかけ、階段を下りる。扉を開けると少しカビ臭いひんやりと湿った空気が流れ出してきた。薄暗い店内を見渡すと入り口横のいつものソファーにその姿を見つけた。その横に身を沈め、ブレンドを頼んだ。
"はい、お土産。ヨリちゃんと金沢に行ってきた"
いつも通りのぶっきらぼうな言い方。だが、別れて未だ半年という微妙な緊張感からか、その声は揺らぎ以前ほど棘はない。更にもう一つ包みを出す。
"これもあげる、高かったんだからね"
相も変わらず一言余計だ。ありがとうと苦笑いしつつ、カバンにしまった。
レコードは何処かで耳にした事のあるスウィングからフュージョンぽい曲調のものへと変わっていた。
彼女はジャズが好きな訳ではなく、"ジャズを聴いている私が好き"と言って憚らない。私とて真摯に向き合うわけではなく、ラジオから流れる曲をただ聞き流すように楽しんでいるに過ぎない。ただ、流行歌よりもジャズの方が心地よいというだけだ。
レコードの片面を四枚分楽しみ、店を後にする。
"前に連れて行ってくれたあの店教えてよ"と言われ、口頭で説明する。
"わからへん、連れてって、覚えるから"
やれやれ、どうせまた覚える気など無いのだろう。また行きたくなったときは呼び出されるに決まっている。いつだってそうだった。
jazz & cafe JamJam
住所:神戸市中央区元町1-7-2ニューもとビル地下1F 喫茶マップ
電話:078-331-0876
営業時間:12:00~23:00
定休日:不定休
公式サイト
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2 件のコメント:
喜国雅彦のマンガのようだ。
ギャグが入ってオチておれば。
この後四コマ目が待っているわけですね、わかります。
傷だらけの天使たち懐かしいな
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