2008年6月6日金曜日

薩摩富士

ルート:かいもん山麓ふれあい公園-二合目登山口-山頂-二合目登山口-かいもん山麓ふれあい公園

単独行

かいもん山麓ふれあい公園にてキャンプ。
"山頂までどれくらい時間がかかりますか?"管理棟で使用料を支払うついでに尋ねてみた。答えは"三時間半くらい"と返ってきた。
たかだか千メートル足らずの山に三時間以上もかかるのだろうか?と疑問に思いはしたが、酒を喰らい早めの就寝とした。
翌朝、夜明けと共にテントを撤収し、開聞岳登山へと向かった。パターゴルフ場を横切り、二合目登山口に到着すると"上り150分、下り90分"と看板に書かれている。
それくらいなら妥当な線だ。まさか革ジャン、革パン、ライディングブーツという出で立ちで登ると思われたわけではあるまい。

6:25 二合目登山口
先ずは照葉樹の茂る森の中を歩く。早朝といえども流石は南国鹿児島らしく蒸し暑い。
登山道へと張り出した羊歯は朝露に濡れ、そこを通り抜けようとする身体に五月蠅くまとわりついてくる。そのうえ、厚く積もった礫は足を浚い、疲労と不快感ばかりが積み重なっていった。
眺望も景観の変化もなく単調な道をただひたすら登り続けていく。五合目付近で一度木々の切れ間から、指宿方面へと展望が開く。海に張り出した独立峰という変わったロケーション。眼下には鹿児島湾が広がる。しかし、登り始めると再び覆い尽くされ、七合目付近まで眺めは得られなくなった。
そして再びの眺望、長崎鼻へと続く優美な弓状の浜辺が続く。山頂からの眺めはさぞかし素晴らしいものだろう。晴れていれば、の話ではあるが。

この辺りから足下は確かな岩塊となり、足取りも軽くなる。ここから先が仁和元年の噴火で隆起したという部分だ。そして間もなく"仙人洞"が現れた。単調な登山道にあるたった一つのイベントといったところか。傍に設置された看板に依ると
"孝徳天皇の頃、開聞岳北麓の「岩屋」(開聞中学校の南150m)にある観音堂は、山伏たちの修行所として諸国からの出入りが多く、開聞宮の社人たちも山伏となり、ここから修行に出かけていたようです。
この洞窟は、開聞岳が噴火したときに溶岩がせりあがってできたもので、これら山伏たちの修行の場として使われ、「仙人洞」という名前が付けられたといわれます。
今は「千人洞」ともいわれ、開聞岳の登山の途中でここまで使ってきた杖をこの洞窟に投げ入れて、杖に感謝し、これからの登山の安全を祈願する人が多くいます。"
ということだ。その儀式に則り、傍に落ちていた小枝を拾い、投げ込んだ。

前方にストックを突きながら登る老夫婦を見掛けた。お二人はこちらが追いついたのに気付くと道の端に立ち止まり先を譲る。"こんにちは"と挨拶を交わし、追い抜かせてもらう。
九合目辺りの岩壁に掛かる梯子を越え、再び現れた木立を抜けると呆気く山頂へと到達する。

8:10 山頂
山頂は雲に覆われ、期待していた眺望は全くない。暫く晴れ間を待つが、吹き付ける湿り気を帯びた風は容赦なく身体を冷やしていく。身震い一つ残し、山頂を後にした。
梯子を下りそこから幾分か進むと、先ほどの老夫婦と出会った。今度はこちらから道を譲る。"早いですねぇ、もう登ってきたのですか"と声をかけられ、"はい、でも残念ながら眺望はないですよ"と返した。

再び単調な道を下っていく。緩い下りと気を抜いていると、ガレ場で足を滑らし手を着く。そこで下山でこそ杖が必要だというのに仙人洞で投げ入れてしまっては駄目なのではないか?と気付く。もっとも最初から杖など持って登ってなどいないのだが。

9:30 二合目登山口
登山口を抜け、左へと続く道へと折れる。こっちからもふれあい公園へ行けるだろうと予想してのルート取りだ。案の定、スキー場を抜けキャンプ地へと辿り着く。始めからこちらを通っていればゴルフ場で藪漕ぎなどしないで済んでいた。
後は枚聞神社へと安全祈願のお礼参りを残すだけだった。

開聞岳
標高922m
鹿児島
日本百名山
高低差820m
所在地:鹿児島県指宿市 山岳マップ
神社仏閣:枚聞神社
距離:上り 3.5km、下り 3.5km
所要時間:登り1:45、下り1:20

枚聞神社(ひらききじんじゃ)
鎮座地:鹿児島県指宿市開聞十町 神社マップ
祭神:大日孁貴命(おおひるめむち)
旧社格:国幣小社
神階:従四位上
神紋:四割菊
薩摩国一宮

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