2009年4月4日土曜日

公智神社

突然の雨を避けるため、軒先を借りた。
モルタルで扱かれた濡れ縁の様な場所に腰を下ろす。そのヒヤッとした肌触りが、汗をかき、火照った体には心地よかった。

そこに腰を下ろすやいなや、隅にうずくまる白猫が、目を剥き、唸り声を上げながら駆け寄ってくる。彼の縄張りに侵入したことを怒っているのかと、ちょっと身構えたりもした。
その白猫は、必死になって走るのだが、その歩みは遅い。びっこを引き、ぴょんぴょんと跳ねるように必死に近づいてくる。そしてそのまま、腹をすりつけるようにしながら膝の上によじ上り、顔を埋めた。

そのコの左手は、人間でいえば"気を付け"をし、掌が空を向いた格好で固まっていた。
可哀相に、車にでも轢かれたのだろうか、と思いながら、頭を撫で、背中へと指を這わせる。彼は、眼を細め喉を軽く鳴らし、それに応えた。そして、はみ出していた足と尻尾も膝の上に収め、やがて眠りに就いていった。

雨脚は一層強くなり、空の色も暗さを増していった。
参ったな、当分止みそうにもないや、と、バッグから一冊の文庫本を取り出す。原色が目に眩しい沖縄の風景の描かれたその本の中では、主人公が公衆トイレで"ほーみ"を行う。そこで女子高生の中へと己が触角を沈めていく。こちとら、汗で湿らせた下着を、この花冷えで冷やしているというのに、などとやっかんで居ると、突然、腕を咬まれた。
何で、咬むねん、と文句を呟きながら、彼の頭をガシガシと撫でる。そうされると、再び満足げに眼を細め、顔を伏せた。
その時、その顔つきからこのコは雄だとばかり思っていたのだが、もしかしたら雌なのかもしれないな、と思い当たった。後で確かめてみよう、その時初めてそう思った。

公智神社(くちじんじゃ)
鎮座地:兵庫県西宮市山口町下山口3-14-30 神社マップ
電話:078-904-2251
祭神:健速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
久久能智神(くくのちのかみ)
奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)
神紋:五瓜に唐花
旧社格:県社
木の祖神、式内社
 
【西宮市指定重要有形文化財】
神輿殿(S19.03.20指定)桁行4.2m、梁間4.2m、入母屋茅葺、室町時代中期
仏壇の痕跡があるので、仏殿であったと思われる

公式サイト

---- おもいがき ----

孝元天皇の第一皇子 大彦命(大毘古命)の後裔 久々智氏の氏神 久久能智命(句句廼馳)(くくのち)を祀る

有間郡三座大一座小二座公智神社
延喜式神名帳(927)

孝德天皇が難波長樂豊前宮より有馬温泉に行幸せられた際(大化3年(647))、行宮造営の材木(くれき)を久牟知川に採る。その良好なことを喜ばれ「此の山は功ある山なり」より"功地山"と名付ける。
俗人、誤りて久牟知山と曰ふ。
釋日本紀(1274~1301)

健速須佐之男命、奇稲田姫命の二神を配祀(貞觀年中)

功地山は、射場山
行宮は、有馬町字杉ヶ谷(有馬稲荷神社)
功地山は、お天上山(北六甲台)
行宮は、公智神社御旅所
と、二つの説がある。

久久智、久牟智、久具知、公智、功地

山口町の山口は、"有馬温泉へ通じる功地山の入り口"より名付けられた。

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