2008年1月11日金曜日

手打免許 さぬき麺業本店@高松

予算¥380(生じょうゆ大(ひや)¥300、半熟玉子天¥80)

カバンの中に入れっぱなしの携帯、そこに別れて以来連絡を取ったことのない彼女の着歴を見つけた。中坊の頃もらったラブレターが思い掛けないトコから出てきた時のように、ドキリとさせられる。
既に二時間ばかり時が過ぎている。見なかったことにしようかと、一度閉じる。思い直して1417をコールする。
"新しいメッセージはお預かりしておりません"
予想通りのメッセージが流れてきた。メールも試してみるが、デーモンさんからお返事が返ってくるだけだった。徐々に気持ちも落ち着いてくる。いよいよ掛け直してみることにする。暫くコールが続き、やがて留守電へと切り替わった。半ばガッカリ、半ばホッとした気持ちで電話を切った。

"手打免許 さぬき麺業本店"
今回、高松を訪れたのは、そんな電話があった所為かもしれない。その彼女と別れた後にも幾度か高松まで足を運んではいたものの、その店を訪ねてみようなどとは、一度たりとも思わなかった。二人で訪れた二軒の讃岐うどん屋。そのカウンターでうどんを頼む時、どんな思いが蘇るのであろうか?

記憶を頼りにアーケードを辿る。さぬき麺業本店はそこに替わらず在った。その前を通り過ぎ、そこよりも一軒目に立ち寄った店を探していた。
狭い間口から奥に長く続くカウンター。目の前では平たいメリケン粉の板が規則正しく刻まれ、次々に茹で上げられていく。虫取り網よりも尚大きい無骨な網ですくい上げられ、冷水で締められていく。二人並んで食べた、その時の会話まで鮮やかに思い出された。
遂に商店街の外れまで来てしまった。その店を見逃すはずはない。念のため他の筋も探す。やはり無い。店を閉めてしまったと云うことか。在って当然と思っていたモノが、そこには無くなっていた。

多少のショックを感じながら、さぬき麺業本店の扉を開く。ここは以前と変わらず、閑散としている。そして以前と変わらぬ、茹でおきの柔らかくなったうどん。醤油を廻しかけ一気に啜り込んだ。

変わったモノは、二人の関係と高松の街並み。
去ったのモノは、曾て愛しき人と七年もの年月。
残されたモノは、変わらぬ思い出と延びたうどん。

手打免許 さぬき麺業本店
住所:香川県高松市兵庫町11-9 饂飩マップ
電話:087-851-5090
営業時間:7:00~17:00(1階)、11:00~21:00(2・3階)
定休日:1/1、1/2
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