2007年5月17日木曜日

恐山菩提寺

恐山1
恐山2
古滝の湯2
極楽浜

R104からR338へと進み、下北半島へと入る。小川原湖を過ぎた辺りから徐々に霧に包まれ出した。うっすらと浮かび上がる地平線の彼方へと伸びて行く道。交通量も殆ど無い。多少視界は悪いものの、道路サイドは何もなく見通しがきく。ココをとばすな、と云う方が無理な話である。北海道にも似た風景の中、人に言えない速度までペースを上げていく。
北へ進むにつれ、徐々に気温が下がり始める。エンジンも軽く廻る。もう熱ダレとは無縁であろう。道路脇の気温計は26℃を示していた。この湿った空気が心地よい。先ほどまでの灼熱の街を抜け出し、体力も少しは回復してきた。
恐山まであと80kmほどであろうか。スロットルを戻し、ツーリングマップルでルート確認をする。思ったより早く着くかもしれない。この時はそう考えていた。

"寒い、まるで真冬のようだ" 辺りを取り巻く乳白色の霧はメッシュジャッケットをぐっしょりと濡らし、知らず知らずの内に体力を奪っていった。合羽を着るべきか?コンビニの前で着替えるライダー達を見ながら、そんな考えが頭をよぎる。しかし、一度タイミングを逃してしまうと停まる切っ掛けが掴めなくなっていた。
歯の根が合わない。岩木山にも寄りたかったのだが、このままでは難しそうだ。あまりにも寒くて、40km/h以上出すことが出来ないのだ。むつ市に入り、漸くコンビニに立ち寄る。恐山はもう目と鼻の先だ。

"恐山 菩提寺"
硫黄の臭いが漂う中、恐山菩提寺は姿を現した。出迎えるは有名なあの6体のお地蔵さんである。入山料を納め総門を潜ると、僧堂や温泉、宿坊に挟まれた参道が地蔵殿へと続く。宿坊の裏手には、正に地獄と云うべき荒涼とした空間が広がっている。激しい刺激臭の中、風車の廻る音、カラスの鳴き声だけが響く。
その風景と対比されるのが宇曽利湖の極楽浜である。白砂の広がるその美しき浜辺はまさしく極楽へと続くのであろう。このお山には地獄と極楽が存在するのである。

菩提寺には自由に入る事が出来る温泉が四つあるという。古滝の湯(男湯)、冷抜の湯(女湯)、薬師の湯、花染め湯である。その一つ古滝の湯に入る。芯まで凍えた体には正にコレこそが極楽である。強烈な硫黄の臭い、シルバーのリングがあっという間に真っ黒に染まる。かなり高温の湯は長いこと浸かっていることが出来ない。出たり入ったりを繰り返し、漸く熱さになれてから肩まで浸かる。
二つの浴槽合わせても四人で一杯になるであろう狭い空間に、うっすらと光が差し込む。その強烈な臭いまでが癒しである。好きな温泉を一つ挙げろ、と云われたら間違いなく此処を挙げるであろう。

"恐山 菩提寺" 青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2
宗派:曹洞宗  本尊:延命地蔵菩薩
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