友人宅へアメリカ土産に持っていこうかと思っていた、熱海で買った"くさや"。まぁ、当然と云えば当然なわけですが、速攻、拒否されてしまいます。仕方がありませんので、独り寂しく、酒の肴にと摘みました。
厳重に密封されたパッキングを切り開きますと、ドブの香りが拡がります。ウワサに違わぬ激臭です。それはもう"くさやちゃん、マジ、う○こ"です。思わず嘔吐きました。取り出した指先を臭うと酸っぱいもんがこみ上げてきました。そして、ちょっと戻してしまいました。
気を取り直して焼きにかかります。換気扇全開。火力も、もちろん全開、です。
半干のムロアジにより造られた"う○こさん"は、程良く脂が抜けているせいか、音も立てずにじわじわと焼かれていきます。危惧していたような激臭も辺りに充満したりなどしません。そこで、臭いもんを嗅ぎたくなるあの愚者の心理により、立ち上る煙に鼻をかざしてみることにしました。恐る恐る、そこから立ち上る煙を鼻腔へと誘ったのです。
微かに"う○臭"は残るものの、どちらかと云えば、すっぱ辛いような発酵臭を伴った"お○こ臭"にも似た香りが肺胞へと注ぎ込まれて往きます。その甘酸っぱい記憶を胸一杯に詰め込み、臭いが美味いと云うウワサを信じながら、精一杯の虚勢をはって、それを口にするのでした。
しっかり目の歯応えに確かな旨味を保った鯵開き。それに加わる口一杯に拡がる"う○臭"。確かに普通の"開き"に比べると旨味が濃くはなっているのですが、干物特有の香ばしくも磯臭い、その芳しき香りを犠牲にしてまで食べたいと思うほどのものではありませんでした。
まぁ、確かに、まだまだ、つまるところ、ボクにも酒呑みとしての精進すべき点が残されているって事、ですね。
そしてまた翌日には、キッチンに漂う青春の思い出にも似た苦い残り香に、軽く嘔吐くのでした。いやぁ"くさやちゃん、マジ、う○こ"。もちろん、いい意味で。
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