2010年7月27日火曜日

やきとりの店 世渡@今治

予算¥2,950(皮焼¥400、センザンキ¥450、せせり焼¥350、とり酢サービス、キモ焼サービス、生中、キリンラガー大瓶x2)

今治と云えば、日本一の焼鳥処として有名な町です。ボクはこの町を訪れる度に、焼鳥、焼鳥、と色色な店を廻ってきたわけですが、焼鳥に関しては、もう、ココで良いかもしれません。

【やきとりの店 世渡】
「おひとりさん?今、いっぱいやから、5分ほど待っといてんか」(言葉遣いは違います)
カウンターの隅に女性がひとり、反対側にはカップルが一組と、半分以上空いているというのに待たされます。予約でも入っているのかな?と、5分くらいならまあいいか、と待ちました。
しばらくすると「お好きなところへどうぞ」と、通されます。別に予約など入っていなかったようです。それなら座って待たせんかい、と、ちょっとムッとします。しかしそんなことよりもビールです。取り敢えず生を頼み、オーダーシートに注文を付けていきました。かわ、せんざんき、れんこん、かわ、せんざんき、れんこん、と、呪文のように唱えながらココまでやって来ましたので、当然、注文は、かわ、せんざんき、れんこん、といきたいところだったのですが、れんこんには横棒が引いてあります。
「れんこん、あらへんのですか?」と聞きますと
「れんこんは、今、時期違うねん」
「今、出しとう店は冷凍もん使こうてはるわ」
「そない季節感無いんは、アカンやろ」
そんな答えが返ってきます。
確かに前に来たときは5月の半ば、れんこんの時期でした。
「それより、にいちゃん、皮焼はどうや」と勧められます。
「もう、付けてはるわ」とおかみさんが返します。
もちろん、皮とセンザンキは外せませんので、真っ先に付けております。

「にいちゃん、詳しいのう」
「どっから、来はったん?」
「神戸です」
「おう、兵庫か」
「そういえば、そっちの客さんも兵庫からやったかの?」
「いえ、神奈川です」
「座敷のお客さんやったかの?」
「にいちゃん、あちこち廻ってはるんか?」
「そうですね、四国やったら、香川の鳥足なんかも食べに行きます」
「あんなんあかんやろ、胡椒とかの香辛料で味誤魔化して、油で揚げとうだけやわ」
「新鮮なネタをしっかりと下ごしらえして、ちゃんと焼いとったら、あない味付けせんでも美味いねん」
「酒とのバランスも考えなあかんで」
「今治は酒呑みがおおいんですか?」
「いや、それほどでもないな」
「土佐なんかでは、よう呑みはりますよね」
「土佐の皿鉢料理もいっこも旨ないやろ、あんなん、酔わな食べられへんで」
「でも、タタキとか旨ないすか?」
「あれも、ニンニクとかで誤魔化しとうだけや、ポン酢さえ旨っかったら、何でも旨なるやろ」
「うっとこでもそうや、このタレが旨い旨いゆわれんねんけど、何にでもかけとったら、タレの味しかせえへんやろ」
「せやから、タレをかけるんは、皮と肝だけ、他は塩やねん」
「何でもバランスってことや」

確かにこのタレは旨い。
他の店では、この今治独特の甘いタレが苦手で、塩かポン酢でもかけてくれれば良いのに、と思っていたのですが、ココでは違いました。カラメルソースのように甘いのに、コクがあり、深みがありました。

「うっとこのタレは、1から10のうち、10やねん」
「一番旨いってことですか?」
「ちゃうちゃう、一番甘いってことや」
「でも甘いだけと違うて、コクがあるやろ」
「店、閉めても、このタレだけは売ってくれ、ってお客さんもおんねん」
付け合わせのキャベツにそれを付け、その言葉に同意しながら味わいます。

「ちょっと変わったもん、食べてみーへんか?」
目の前に小鉢が出されます。
「待って貰ったから、サービスや」
ご主人が微笑みます。
「ひねの皮を細く切ったもんで、とり酢ってもんや」
「コリコリとした食感を楽しむ、フグ皮みたいなもんと思うてもらったらええ」
「よく混ぜてから食べてや」と
ポン酢の酸味とワケギの爽やかや香りにモミジおろしがピリッと利いています。歯触りが楽しい正に夏の一品です。

さらに話を弾ませていますと
「もう一つ食べてみーへん?」
「これの味が分かれば大したもんや」と、肝焼を出されます。
しっかりと血抜きの施された肝、その表面だけ軽く焼き上げています。当然、中心は生、極上のムースのような味わいです。
「肝に使うネギは細いヤツ、ズリに使うんは、太いヤツ、こっちは、しっかり焼かなあかんからな」
高級な素材を使っているワケではないのですが、しっかりと下ごしらえをして、それに合わせた絶妙な火加減。そして、絶品のタレ。
お客に出すからには、美味しいもんを味わって貰いたい、そんなご主人の心意気が伝わります。

しかし、このお店は、かなりお客を選ぶ店ではあります。
それでも店主の個性も味の内、と楽しめる人であれば、格安で極上の焼鳥を味わえるお店でもあります。

やきとりの店 世渡
電話:0898-31-1614
住所:愛媛県今治市黄金町1-5-20 焼鳥マップ
営業時間:17:00~22:00
定休日:月曜
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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いやいやいやいやこの記事読んだら涎がwww
ここは是非いつか行ってみたいですね

みっちゃん(偽) さんのコメント...

味は間違いありません

ただ、店主のこだわりが強すぎて、受け付けない人は本当にダメみたいですね