2010年7月3日土曜日

酒処 溝畑酒店@堺東

予算¥1,250(アサヒスーパードライ中瓶¥370、出羽桜 桜花、きずし¥380)

ボクが堺を好きな理由はと云えば、千夜一夜語り明かしたところで尽きぬほど数多の理由が有るわけですが、日本各地の地酒が呑める立呑み屋があるなどということも、その数多くの内のひとつだったりするのです。

【酒処 溝畑酒店】
開店間もない時刻だというのに、既に先客が居りました。常連さんかな?なんて思いながら、少し離れた処に腰を据えます。
取り敢えずは中瓶など頼んで、アテを模索しました。時期は間もなく卯月。そろそろ仕舞の粕汁なんてのも良いか、などと考えていると、湯気立つそれを一口啜った後の「美味いんだな、これが」なんて独り言が耳に入ります。その言葉は、こちらに向けられたように響きました。それは思わず呟いてしまった、といった類のモノではなく、ボクへと意識を向けさせるための演出のようでもありました。それは、ボクの思いを見抜かれたように掛けられた誘いの言葉なのでした。
それに対して応えた、いや、応えてなどいない、なんて事は別にして、ココで"粕汁下さい"などと言おうものなら、それを口火に話し掛けられるなど、火を見るよりも明らかなのでした。
立ち呑み屋に遇って、偶偶隣り合った人と話が弾む。そんなことは、こちらも望むところではあるのですが、これだけあからさまだと、ボクの天の邪鬼心に火が付きました。絶対に話してやるもんか、と。

厨房にて作り上げられたアテが、次から次へとカウンターに並べられていきます。それを手に、ポツリポツリと常連さん達が席を埋めていきます。そして彼は、その誰かが応えてくれるのを待ちながら大きすぎる呟きを重ねていきます。しかし、彼がそんな独り言を繰り返せば繰り返すほどに、店は静まりかえり、その闖入者を訝しみながら皆揃って口を重たくしてしまうのでした。そして何も応えてくれない人達に愛想を尽かしたのか、店員さんに話し掛け始めたのでした。その会話の内容から一見客だということが判明したのでした。

「サンタールチーアー」
みんな暗いぞ、オレが明るくしたろ、とでも言いたげな突然の放歌高吟です。しかし、皆、そちらを見ようとすらしません。みんな関わりたくなかったのです。
自分がそんな空気を創り出していることになど全く気付かないようです。あんたが居なければ浅酌低唱と楽しくやれるんですよ、とツッコミを入れます。もちろん口には出しません。もちろん関わりたくないからです。

「俺もその出羽桜ってヤツを貰おうかな」と再びこちらに矛先が向きましたので、慌てて店を後にしました。もちろん関わりたくなかったからです。

酒処 溝畑酒店
住所:大阪府堺市堺区北瓦町2-1-2 立呑マップ
電話:072-232-0196
営業時間:16:00~24:00
定休日:木曜
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