2007年5月29日火曜日

彦六鮓@阪急六甲

予算¥5,400(鮃、鰺、間八、穴子、(各一貫)、バッテラ、冷酒x2、瓶ビール)

嫌な事があるわけではない。仕事が辛いわけでもない。しかし、心の奥底に澱のように降り積もるモノが在る。
それを振り払うために必要な場所がある。ここはそんな店である。

"彦六鮓"
大正時代に建てられた長屋の一角にその店は存在する。建替の進む阪急六甲界隈の中、赤煉瓦造の阪急変電所やこの並びだけは時が止まったかの様に切り取られている。

店には先客が一人、見知らぬ顔である。少し離れて腰を下ろし、麒麟と、鮓を何貫か頼む。この店の薪で焚かれた硬めのシャリが好みだ。前回は微かにコゲの臭いがしたが、今回は非常に良い感じだ。
鮃は旬を外しているので、やはり味が落ちてきている。穴子好きとしては穴子は外せない。ビールも空き、冷酒に遷る。バッテラも追加で頼む。あぁ、染み染みと旨い。
いつも美しく飾られた季節毎の花々、滝鯉大吟醸、そしておかみが優しく心を癒してゆく。
冷酒も二本目を空ける頃には、すっかり酔いが回っていた。常連さんと話し込む内に閉店時間も大きく過ぎてしまっている。いつも酒を控えめにしなければならないと思いつつ、また誘惑に負けてしまう。

最近呑みすぎて、廻りに迷惑をかけてばかりだ、反省。

彦六鮓
住所:神戸市灘区宮山町2丁目1-7 寿司マップ
電話:078-851-7555
定休日:金曜
白身のネタ@彦六鮓

2007年5月26日土曜日

大河内越

栂尾神社を後にし、R388を西へと急ぐ。日が暮れる前に峠を越えないとヤバそうだった。路肩が崩れ落ち、ガードレールも反射板もない道を暗闇の中走らなければならないなんて、考えただけでもゾッとする。"大河内越全面通行止 迂回路無"この看板を何度見送ったことか。バイクなら通れないことは無いだろう、安易な考えで進み続ける。

何もない深い谷間から徐々に高度を増してゆく。峠に近づいてきた証拠だ。夕日が辺りを赤く染めていく。最高地点には一枚の看板が置かれ、トラロープで完全に閉鎖されていた。ロープを解き、バリケードの横を擦り抜ける。ここから先は下りが続いてゆく。バイクを降り、先の道を確かめに行く。迂闊に進んでUターンが出来なくなるなど最悪だ。
小走りに坂を下って行くと通行止地点はすぐだった。道が全て崩落し、ブルーシートで養生してある。その幅およそ20m程か。これでは無理だ。何より絶望感を増したのはそこに駐められた一台のトライアル車。後でトランポで回収するつもりか、カバーが掛けられ放置されている。トライアルで越せないことは無いであろうからガス欠か?とにかくオンロードでは絶望的だ。
急いで引き返さなければならない。ガスの残量を計算する。おそらくは一つ目と思った交差点を北に行くのが、教えて貰った道なのであろう。30km近く戻らなければならない。そこからさらに椎葉村役場辺りまでは直線でも10km以上ある。その辺りまで大丈夫だが、GSがある保証など何処にもない。エンジンをかけずにニュートラルに入れたまま、坂を下る。ガス欠と日没の恐怖に追いかけられながら今来た道をひたすら戻った。

一つ目の交差点に到着した。そこに掲げられた看板には、大河内越通行止の為、特別に解放しているようなことが書いてある。神門神社で聞いた話では、この道ですら最近まで通行止めであったという。暫く進むとダート区間に差し掛かった。明るい内に辿り着けて良かった。ヘッドライトだけでこの道は辛すぎる。新しく開通したというトンネルを抜ける頃には、夜の帳包まれてしまった。
"北に抜ければ何とかなる"その思いは、直ぐに打ちのめされた。湖の横を走る国道は唯、街灯が煌々と灯るだけであった。此処で選ばなければならなくなった。村役場方面へ在るかもしれないGSを求め走るか、R265を辿り一番近い町を目指すか。1kmも無駄には走りたくなかった。一番近い町でも30kmは離れている。村役場まで行き給油出来なければ、その町にすら辿り着くことは出来ないかもしれない。それだけは避けなければならない。
町へと向かい初めて直ぐに警告灯が灯る。この選択が正しかった事を祈り、ひたすらエコライド。回転数を一定に保ち、ハイギアで走る。トリップメーターは初めて200km以上を指し示すこととなった。

漸く町へと差し掛かる。時刻は午後六時半、交差点にあるGSの灯りは既に消えていた。町全体が眠りについている。街灯がわずかに明かりを灯すだけだ。再びツーリングマップルを取り出し、最寄りのGSを探す。あと保って10kmであろう。その時一台の車が停まる。
"どうしました?"車から一人の男性が降りてくる。給油したいので、近くにGSが無いかと尋ねる。残念ながら近くには無いらしい。男性は向かいの家の人に声をかける。既に閉まっているGSで給油出来ないか聞いてくれている。素直に好意に甘える。手持ち無沙汰な私は娘さんと会話を続ける。椎葉村は九州で最も田舎で、六時を過ぎれば殆どの店が閉まってしまうという。
GSは店員が鍵を持って帰るのでやはり給油出来ないそうだ。知り合いのGSがまだやっているかもしれないので電話をかけてみるとのこと。何から何までしていただいて、恐縮至極である。七時半まで営業しているそうだ。時刻は七時二十分。10km程離れているそうだが何とか間に合いそうだ。お礼も早々に、お別れしてしまった。せめて住所とお名前を聞いておけば、後で礼状の一つも書けたモノであるのだが。

次こそ親切に触れたときは、恩返しをせねばなるまい。そんな想いがいつも積み重なっていく。

(道の駅不知火に続く)

2007年5月21日月曜日

箕面の滝

昆陽寺2
昆陽寺3
荒牧バラ園1
荒牧バラ園2
荒牧バラ園3
荒牧バラ園4

日帰り89km
岡本珈琲館 - めん太鼓 - 崑崙山昆陽寺 - 昆陽池 - 荒牧バラ公園 - 寶生山帝釈寺 - 箕面山瀧安寺 - 箕面の滝 - 東照閣

岡本珈琲館にて、昨夜のアルコールを熱い珈琲で抜く。
山幹が芦屋まで開通したというのを小耳に挟んだので辿ってみる事にした。真新しい舗装が心地よく、滑らかに足が運べる。直ぐに芦屋川の手前で通行止に突き当たった。以前から完成はしていたが閉鎖されていた区間が、開通しただけであった。住宅地の中を迂回し、再び山幹に戻り夙川方面へと辿る。こちらはまだまだで、舗装すらされていない。早く全線開通してもらいたいものだ。
朝食を摂っていないので早めに昼にしたい。とりあえずは東照閣の前を通ってみる。時刻は丁度開店時間ではあるが、まだ暖簾が出ていない。仕方がないうどんでも食べに行こう、と思いめん太鼓へ。以前から何度も足を運んだが縁がなく、食べられずにいた店の一つだ。なかなか美味いうどんを食わすと地元で評判でもある。
ミニ天丼定食(¥800)を頼む。結論から言えばうどんは美味い。エッジも立っており、コシも滑らかさも良い感じだ。しかし、天丼が良くない。ご飯が軟らかすぎるし、油切れも悪い。ここではうどんだけ頼むのが良さそうだ。
腹も膨れたところで"崑崙山昆陽寺"へと向かう。行基菩薩が有馬温泉に行く途中に発願して建立したお寺さんである。直ぐ横をR171が走ってはいるが、朱塗りの山門を潜ると静寂な空間が待っている。境内には一番から八十八番まで石仏が祀られ、四国八十八ヶ所霊場巡りを楽しむことが出来る(昆陽寺2の写真を見ていただきたい。真ん中の木の枝に…)。ポツポツと雨が降り出す。今日は晴れの予報であるにも係わらず狐の嫁入りだ。門前にて暫し雨宿りをし、今日のメインの内の一つ荒牧バラ公園の平和モニュメントを目指す。
荒牧バラ公園を訪れるひとはもちろん、薔薇を見に来るわけであって、平和モニュメントの地下ホールまで足を運ぶ人は殆どいないようである。薔薇の季節というのがいつなのかは解らないが、少なくとも今の時期では無いようで、チラホラとしか咲いていない。私にとっては逆に人が少ないので良い感じである。園内にはいると、真っ直ぐ地下ホールへと足を運ぶ。その静寂とヒンヤリとした空気は良いのであるが、オブジェ、モニュメント、空間の取り方にしてももう一つであった。期待していただけに残念である。
アトラスを見ながらのルート設定。五月山ドライブウェイにも興味があるが、自転車で入れるのか判らないので、今回はパスする(行けるようである)。五月山の麓を抜け、折り返し地点"寶生山帝釈寺"へと向かう。この辺りから漸くアップダウンが始まりだした。古い街道の佇まいをわずかに留めるこの道に出会い、気持ちの高ぶりを感じながら先に進む。寶生山帝釈寺はうっかりすると通り過ぎてしまう程、目立たずに在った。参拝をすませ、庫裏へと朱印戴きに行く。汗だくであった為だろうか、"冷たいモン持ってきますので待っていてください"とのコト。有難いことによく冷えた缶コーヒーと茶菓子を戴いてしまった。甘いモノで元気が出た事でもあり、箕面の滝を目指す。
平日で夕方のこともあり、人もまばらである。多少急なところもあるが、木陰の気持ち良い道だ。滝からは九十九折りの道を上り、車道へと出る。ここから箕面駅まで下りの記憶で在ったが、暫くは緩い上りが続く。猿たちの間を抜け、漸く下りへと差し掛かる。上がってくるロード達と挨拶を交わしながら下る。前を行く車が道を譲ってくれる。左手を軽く挙げパスする。ワインディングの楽しさは単車と一緒だ。次々と現れるカーブが嬉しい。
帰りはまた東照閣の前を通ってみよう。

2007年5月17日木曜日

恐山菩提寺

恐山1
恐山2
古滝の湯2
極楽浜

R104からR338へと進み、下北半島へと入る。小川原湖を過ぎた辺りから徐々に霧に包まれ出した。うっすらと浮かび上がる地平線の彼方へと伸びて行く道。交通量も殆ど無い。多少視界は悪いものの、道路サイドは何もなく見通しがきく。ココをとばすな、と云う方が無理な話である。北海道にも似た風景の中、人に言えない速度までペースを上げていく。
北へ進むにつれ、徐々に気温が下がり始める。エンジンも軽く廻る。もう熱ダレとは無縁であろう。道路脇の気温計は26℃を示していた。この湿った空気が心地よい。先ほどまでの灼熱の街を抜け出し、体力も少しは回復してきた。
恐山まであと80kmほどであろうか。スロットルを戻し、ツーリングマップルでルート確認をする。思ったより早く着くかもしれない。この時はそう考えていた。

"寒い、まるで真冬のようだ" 辺りを取り巻く乳白色の霧はメッシュジャッケットをぐっしょりと濡らし、知らず知らずの内に体力を奪っていった。合羽を着るべきか?コンビニの前で着替えるライダー達を見ながら、そんな考えが頭をよぎる。しかし、一度タイミングを逃してしまうと停まる切っ掛けが掴めなくなっていた。
歯の根が合わない。岩木山にも寄りたかったのだが、このままでは難しそうだ。あまりにも寒くて、40km/h以上出すことが出来ないのだ。むつ市に入り、漸くコンビニに立ち寄る。恐山はもう目と鼻の先だ。

"恐山 菩提寺"
硫黄の臭いが漂う中、恐山菩提寺は姿を現した。出迎えるは有名なあの6体のお地蔵さんである。入山料を納め総門を潜ると、僧堂や温泉、宿坊に挟まれた参道が地蔵殿へと続く。宿坊の裏手には、正に地獄と云うべき荒涼とした空間が広がっている。激しい刺激臭の中、風車の廻る音、カラスの鳴き声だけが響く。
その風景と対比されるのが宇曽利湖の極楽浜である。白砂の広がるその美しき浜辺はまさしく極楽へと続くのであろう。このお山には地獄と極楽が存在するのである。

菩提寺には自由に入る事が出来る温泉が四つあるという。古滝の湯(男湯)、冷抜の湯(女湯)、薬師の湯、花染め湯である。その一つ古滝の湯に入る。芯まで凍えた体には正にコレこそが極楽である。強烈な硫黄の臭い、シルバーのリングがあっという間に真っ黒に染まる。かなり高温の湯は長いこと浸かっていることが出来ない。出たり入ったりを繰り返し、漸く熱さになれてから肩まで浸かる。
二つの浴槽合わせても四人で一杯になるであろう狭い空間に、うっすらと光が差し込む。その強烈な臭いまでが癒しである。好きな温泉を一つ挙げろ、と云われたら間違いなく此処を挙げるであろう。

"恐山 菩提寺" 青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2
宗派:曹洞宗  本尊:延命地蔵菩薩
参考URL

2007年5月15日火曜日

創作料理 たかお@JR神戸

予算¥11,400(3人)(生ビールx4、芋焼酎x2、麦焼酎ボトル、お通し、鱧天ぷら、お造り盛り合わせ(トロ、カンパチ、貝柱、マグロ)、ラタトゥイユ、スルメの天ぷら)

そろそろノリさんトコに顔出さなアカンなぁ、と思っている矢先にバイク仲間のケンチンから電話が入る。"神戸に行くから呑みに行こう"と。
丁度良いので"たかお"に行くことにする。元カノのトモも加えて3人で行くこととなった。このメンツで呑むのは4ヶ月ぶりであろうか。
仕事を早めに切り上げ電車で神戸駅へと向かう。神戸駅から徒歩3分というアクセスの良さが嬉しい。待ち合わせの時間より少し遅れて暖簾を潜る。

"創作料理 たかお"
二人とも今来たところだと言う。生ビールを頼み、反射的に口を付けてしまう。ブーイングを浴びつつ、飲み物がそろったトコで乾杯。"焼酎ボトルでおろしといたから残りは好きに呑んで"と言うが残るわけがない。
お通しとして鶏サラダ仕立てが出てくる。炙った鶏をレタスの上にのせ、胡麻風味のドレッシングをかけたモノだ。こういった感じの料理がノリさんっぽい。ラタトゥイユと海鮮系でお任せ二品頼む。ケンチンは奈良の人間なので、神戸に来ると魚、海、魚、とうるさい。"鱧があるから天ぷらにしようか?"と言われ、ソレをお願いする。初鱧である。まだ旬には早いので小振りであるが、美味い。造りにトロを加えてもらう。貝柱の甘みがいい。歳を重ねるにつれ、貝好きになってきた。ラタトゥイユは所謂ラタトゥイユではなく、ガーリックとパルメジャーノ風味の野菜炒めといった感じのモノであったと思う。"思う"というのは強かに酔っていたため、ハッキリとは憶えていないからである。ボトルも既に開き、二人が頼んだ芋焼酎のロックを貰いながらスルメの天ぷらをつまむ。芋焼酎はあまり好みでは無いのだが、此処まで来ると関係ない。
また終電ギリギリまで居座ってしまった。

創作料理 たかお
住所:神戸市中央区相生町4-2 居酒屋マップ
電話:秘密?
定休日:日曜
MISOZI会@創作料理 たかお