2009年5月5日火曜日

焼鳥 一品料理 おんどり@もちいどの

予算¥1,630(白滴 純米吟醸 300ml¥750、ヒネ(塩)¥130x2、きも(タレ)¥120x2、つくね団子(タレ)x2¥380)

黄昏時の南都の町並みを写真に収めていた。
すると、何やら視界の端をチラチラと蠢くものがある。視線を足下へと遣ると、一匹の猫が擦り寄るように寝ころんでいた。

カメラを持ち替え、空いた右の中指と人差し指を、首筋から背を伝わせ腰へと這わす。そして、尾の付け根をコリコリと刺激する。反射的に高く高く掲げられた股間からは、情熱を持て余した雌が露わとなった。
「ここか、ここがええのんか?」
と、より一層刺激を強めていく。色めく肢体に合わせ、くぐもる艶声が上がる。
「キミの求めるトゲ付き棒は、ボクには生えていないのだよ、残念ながら」と独白しながら、下腹部をサワサワ愛撫してあげようと手を伸ばすと、シャッと唸りを上げ、車の下へと逃げ込んでいった。
なんで、「最近甘いもの食べ過ぎで、下パラがぽっこりしちゃったの、そこは触らないでって、言ったでしょ!」
みたいな怒り方をしますか。その掌を返したような変貌に呆れる。

「チチチチチ」
「キリキリキリキリ」
「クトゥクトゥ」

そう、ご機嫌を伺うように呼びかけるが、警戒したまま出てこようとしない。
短くも熱い逢瀬はこれにて終了、というわけだ。

仕方有るまい、猫は気まぐれな生き物、と、愛想は悪いが味は良いという焼鳥屋へと向かった。

【焼鳥 一品料理 おんどり】
狭い路地裏に佇む、これまた狭い店。L字型のカウンターの奥には常連さんが陣取り、ご主人と三面記事をネタにポツリポツリと言葉を交わしている。ボクは、その言葉と言葉の合間を縫うように注文を重ねていった。

”春鹿”というと、矢鱈と淡麗辛口ばかりが強調され、水のように味わいなく、香りも控えめで舌を刺激する辛口が残る、といったイメージがあるのだが、この”白滴”は違っていた。
控え目ながらもフルーティーな香りが拡がり、すっきりした中にも米の旨みが残る、そんな純吟らしさを秘めていた。
この酒ならどんな料理にでも合いそうだな、と思いながら、焼きたての串を摘む。
24年間、注ぎ足されてきたというタレは、とろみ、甘み、共にあまり付いていないサラッとしたタイプ。肉質も云われるほど良いものでもなかった。

店の雰囲気からも期待していたのだが、それ以上追加することなく、席を立った。

焼鳥 一品料理 おんどり
住所:奈良県奈良市西寺林町11-5 焼鳥マップ
電話:0742-22-9433
営業時間:17:00~24:00
定休日:月曜 
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参考サイト

■株式会社 今西清兵衛商店
住所:奈良県奈良市福智院町24-1
電話:0742-23-2255
FAX:0742-27-3585
公式サイト

而妙酒 白滴 純米吟醸
1800ml ¥2,520 720ml ¥1,260
純米吟醸
原料米:山田錦
精米歩合:60%
日本酒度:+5.0
酸度:1.3
アミノ酸度:1.4
alc15.0~16.0%

2009年5月4日月曜日

紀州備長炭焼き 芙美@ミント神戸

予算¥1,000(ふわふわだし巻き丼と貝汁¥1,000)

神戸で貝汁といえば、ここ芙美。
焼鳥屋なのに何故か貝汁で有名な店だ。

【紀州備長炭焼き 芙美】
小振りの浅蜊がこれでもか、と入った貝汁。上に木の芽を散らした爽やかな香りと、たっぷりの浅蜊の出しが何とも旨い。もちろんこの店では、床にその殻をほかすワケではなく、ガラ入れが添えられている。
共に並ぶだし巻き丼の味は、凡庸、その一言に尽きる。焼鳥屋なのに何故か貝汁の方が美味い店。
焼鳥は食べなくても良いが、この貝汁は、一度食べてみる価値がある。

紀州備長炭焼き 芙美(ふみ)
住所:神戸市中央区雲井通7-1-1 ミント神戸地下1F 和食マップ
電話:078-221-0020
営業時間:11:00~22:00(LO 21:00)
定休日:ミント神戸に準じる
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2009年5月3日日曜日

天ぷら 天市@堺魚市場

予算¥1,400(生ビール¥400、貝汁¥300、あなご、たけのこ各¥200、なす、野菜寄揚、れんこん各¥100)

堺で天ぷらといえば大吉が有名なわけだが、午前1時開店と地元民でなければ、ちと敷居が高い。
そこでお隣の天市へ。

【天ぷら 天市】
注文は紙に書いて渡すという揚物屋ではよくある形式。
揚げ続けた油は真っ黒に染まり、東京の天麩羅か、というほど茶色い衣を纏っている。
大振りの具にちょっと厚めで堅い衣。それに、たっぷりの大根おろしを入れた辛めの天つゆ。
決して上品な味ではないのだが、無骨な天ぷらと大きめの浅蜊の入った貝汁がなんとも郷愁を誘うではないか。
その浅蜊の身をほじくり、床にホカした殻を踏みしめる頃には、身も心もゆったりと温もり、優しい気持ちで満ちあふれるであろう。

天ぷら 天市
住所:大阪府堺市栄橋町2-4-28(堺魚市場内) 和食マップ
電話:072-228-9898
営業時間:21:00~(平日) 20:00~(日曜)
定休日:月曜
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2009年5月2日土曜日

天プラらッキー@豊中

予算¥470(天丼¥470(天丼、味噌汁、漬け物))

新開地ビルの建て直しにより、現在の場所へと移店。店は変われど、相も変わらぬその安さ。

【天プラらッキー】
鉄火丼¥600、カツ丼¥520、定食にいたっては、その多くは500円台という格安の価格設定故、何を頼もうかちょっと迷うが、470円の値段に負け、天丼に決定した。
もちろん、この値段で多くを求めるなど愚かなこと。海老二尾、紫蘇、海苔が、ぼてっと、さくっと、ぷりっと、甘辛い汁をかけられ、多めの飯の上に鎮座する。それだけで格安天丼の資質足るや、十分ではないか。
確かに安っぽい天丼ではあるが、時時たまらなく食べたくなる味がここにもある。

天プラらッキー
住所:大阪府豊中市本町1-12-29 食堂マップ
電話:06-6848-2109
営業時間:11:30~21:30
定休日:火曜
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2009年5月1日金曜日

福知山線廃線跡(生瀬~武田尾)

「必ず雨が降ります。ボクなら迷わず家に帰りますね」
との、ササブネさんの言葉を尻目に
「雲の具合を見ながら行ってみます」
と、生瀬の廃線跡へと向かったわけだ。

琴鳴山木元寺を参拝していると、ポツリポツリと雨が落ちだしてきた。
宝塚辺りで降り出したのであればおとなしく引き返したのだが、ここまで来てしまったからには、数多くあるトンネルで雨宿りしながら雨雲をやり過ごせばいいや、傘を差した。






【雨の中、廃線跡を辿っていたら、鎖場に迷い込んだでござるの巻】

”                  告
本地は、当社の私有地で昭和61年8月に廃線した旧線路跡地であり
通行の用に供さず
                  中略
万一、事故、その他が発生した場合においてはその責は負いかねま
すので予めご了承ください。
                         西日本旅客鉄道株式会社”

建前看板を読み、ご了承いたしました、と枕木の埋もれた線路敷きへと歩みを進める。
雨煙る廃線跡。砂利に埋もれた枕木が処処姿を見せる、ほぼフラットなダート路。スリックマウンテンでも余裕で爆走できる路面なのだが、こう雨が酷くては、跨ることすらままならなかった。

やがて現れる一つめのトンネル。
奥にぽつりと浮かんだ出口の明かりと、バイクのライトによってうっすらと浮かび上がる側壁だけを頼りに奥へと進む。
漸く辿り着く出口。ここでしばしの雨宿り。しかし、いつまでもここに黙って居るわけにも行かない。

雨は、尚一層強さを増し、MTBを押し続ける右手の感覚を奪っていっていた。その冷たさは、腕を這い上がり全身に廻る。
走れなくてもいい、ただ、温泉につかりたい。もはや、一刻も早く、武田尾温泉に辿り着くことしか考えられなくなっていた。

ふたつめのトンネルは、途中でカーブでもしているのだろう、出口の明かりすら見ることが出来なかった。
ストーブに火を点し、インスタントラーメンを作る人たちを羨ましくも思いながら、奥へと歩みを進める。
初めのうちこそ、入り口より差し込む光により行く先が分かってはいたが、やがて、その光りも届かなくなる。いよいよ、バイクに取り付けられたポジションランプの微かな光だけが頼りない頼りとなっていた。
トンネルは緩いカーブを画いているらしく、相変わらず出口は判別できない。事実、左側に浮かび上がっていた壁の気配を見失い、いつしか右の壁を辿っていた。
路面も荒れている。枕木が埋もれずに完全に露出しているようで、躓かないように必要以上に脚を上げて歩かなければならなかった。
ふと、遥か後ろに明かりの気配を感じた。しっかりと光量のあるライト。そんな灯火が、こちらの不用意さを嘲笑うような気がして、追いつかれるものか、と歩みを速めた。

漸く雨も小降りとなり、バイクに跨った。そして、凍えた身体を温めようと、がむしゃらに漕いでいく。
額から顎へと汗が伝わり、ぽとりぽとりのフレームに跡をつけていった。最早、温泉でノンビリしよう等という気持ちは失せていた。今は、先へ先へとそれだけを考えていた。

続く