2008年3月31日月曜日

播州ラーメン 畑やん@西脇

予算¥550(しょうゆラーメン¥550)

昼過ぎから降り続く雨は今も猶止む気配は見せず、重みを増した革ジャンはずっしりと肩にのしかかり、濡れた体を擦り抜ける風はこの身を凍えさせていった。一時はかき揚げそばにより安らいだ体も、今となっては何の温もりも留めてはいなかった。
濃く曇ったシールド越しに前を行くテールランプを必死になって追う。それを見失ってしまっては道の軌跡すら判らない。そんな激しい雨に打たれ続け、最早歯の根も合わなくなっていた。今、この時に、泉より女神が出て来ようとも、ランプから精霊が現れようとも、ただ求めるものは雨上がりの雲間から覗く星空と喉を焼くほど熱い一杯のラーメンであった(望みが三つ叶えられるなら、後はお金か?)

"播州ラーメン 畑やん"
激しく打ち続ける雨を逃れ、店内へと駆け込む。
"雨、大変でしたね"と熱いおしぼりが三本目の前に並ぶ。"使ってください"と。弱っているときにはこんな気遣いが嬉しい。その温もりが痺れた指先の感覚をゆっくりと戻してゆく。
少ししなびた葱に柔らかすぎるほど茹でられたもやし、脂身の多いチャーシュー。一番の特徴はタップリの玉葱から生まれる甘いスープ。温かな優しい甘さが体に染み渡る。播州ラーメンのこの甘さを嫌う人も多いが、俺はかなり好きだ。もちろんすべて飲み干し、暖を取る。椅子にかけられた革ジャンも少しは身軽になったであろうか?会計を済ませ身支度を調える。窓の外を眺めた店主から"雨も上がったみたいですよ"と声をかけられる。この温もりこそは六甲を越えるまで持てばいいのだが、そんなことを思いながら"お気を付けて"の声に答えて店を後にした。

播州ラーメン 畑やん しばざくら店
住所:兵庫県西脇市野村町786-2 ラーメンマップ
電話:0795-22-5966
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00
定休日:第1、第3水曜

2008年3月29日土曜日

荒金酒店@新在家

予算¥1,080(キリンラガー大瓶¥380x2、おでん(大根¥100、ごぼてん¥100、すじ¥120))

春にはほど遠いのにこの温さは何なのだろうか?何とはなしに明石にでも行こうかと思って出かけた冬のある日のこと、明らかに間違えた装いであることに気付いたのは家を出て10分も走らぬ内であった。水道筋を過ぎる頃には全身汗だく、喉はカラカラ、求めるものはキンキンに冷えたビール、そんな状態になっていた。
しかし、夕方というにもまだまだ早い時間。そうそう酒を呑ませる店もない。春日野、西灘、大石と知った立ち呑み屋を巡るが暖簾の上がる店は無い。まぁ新在家まで行けば何処か開いているだろう、と向かった。

"荒金酒店"
ガラス戸から覗くと先客は三人。冷蔵庫からキリンラガーを取り出し、末席に着く。それと何もアテが無いというのも寂しいのでおでんを頼んだ。顆粒のダシの素を溶かしただけの風味だ。面取りや下茹でもされていない大根は大して味が染みているわけでもないのに煮くずれ、すじやごぼてんは今入れたばかりでないのか?というほどダシを感じない。
まぁビールさえ飲めれば文句は無いわけで、何なら塩でも良いわけで、しかし、味気ないのも確かなわけで、取り敢えずもう一本栓を抜いた。

荒金酒店
住所:神戸市灘区浜田町3-5-14 立ち呑みマップ

2008年3月27日木曜日

総本家 橘屋@大垣

予算1,923(どてかつ¥95、ねぎま¥105、レバー¥95、タン¥95、ナンコツ¥126、ドテ煮¥294、生小¥399、ねのひ自然水仕込生貯蔵酒(300ml)¥714)

ここ大垣もかつては城下町であったからには、少なくとも二、三軒くらいは駅前に立ち呑み屋があるだろうと降り立ったわけだが。。

"総本家 橘屋"
サクッと呑んで帰るのに"これは"という店を見付けらぬまま、大垣城まで辿り着いてしまった。看板に大きく書かれた"どてかつ"の文字が気になっただけ、そんな消極的な理由で橘屋の戸を潜った。

焼き場を囲みコの字型に囲んだカウンター、ガラス戸を開けるとそんな狭い空間に椅子が並ぶ。後から訪れるかも知れない客に気を遣い少し奥へと進んだ。腰を落ち着け、メニューを見渡す。そこには焼鳥屋のハズなのだが矢鱈と居酒屋メニューが名を連ねる。
"しまった、地雷を踏んでしまったか?"と思いはしたものの、他にめぼしい店もなかったワケで"まぁ、軽く酔えればいいか"などと諦め半分で何品か選んでいった。
焼鳥はすべて塩、そしてもちろん"どてかつ"を、それに併せてドテ煮も追加した。
先ずは焼鳥から出てくる。さほど期待もせずにいたワケだが思いのほかイケる。そう思っているうちに、次々と目の前に皿が並んでいく。"おい、はえーよ、もっとゆっくり呑ませろよ"と心の中でツッコミを入れる。遂にビールを飲み干す前にすべての品が揃ってしまった。
冷酒を追加し、どてかつ、ドテ煮をつまむ。予想通りどちらもかなり甘く仕込まれた八丁味噌味。その上冷酒まで甘口だ。甘いアテには甘いサケが合うのかも知れない、そう思いながらラベルを見ると名古屋の酒造メーカーであった。
何処までもこの甘さが付いて廻る。おそらくは関ヶ原を越えるまで。

総本家 橘屋
住所:岐阜県大垣市東外側町2-13 焼鳥マップ
電話:0584-81-8166
営業時間:17:00~22:30
定休日:日曜

2008年3月24日月曜日

丸八寿司@名古屋

予算¥1,730(上ランチ(マグロx2、イカ、サーモン、数の子、ハマチ、エビ、イクラ、鉄火巻、赤だし(11:00~15:00))¥1310、生中¥420)

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは金沢を目指していたと思ったらいつのまにか名古屋に向かっていた』

な… 何を言っているのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

"丸八寿司"
夏の匂い立つ激しい雨とは違う、音のない冬特有の雨がゆっくりと降り注ぐ。傘を差すほどではないが、差さずに歩き続けていればやがて体を蝕み、歩く気力を奪い尽くしてしまう、そんな雨が名古屋の街を鈍く暗い色へと染め上げていた。
そんな中、この近くに24時間営業の寿司屋が在ることを思い出す。それは金沢にて食べるはずだった新鮮な日本海の魚介達を逃してしまった事に対する辻褄合わせ、そんな気がしていた。

店へと至る仄暗く急な階段の前にはトロ箱にマジックで殴り書きされただけ、という素敵な看板達が並ぶ。
"上ランチ1250税別 中ランチ950税別"、"寿司職人募集"、"イージス艦巻も社保庁巻もあります"
もう何でもアリといった有様だ。その中でも一番目を惹いたのは"ビール大びん400円自分でぬいたら350円"の文字。そんなところが酒飲みだなぁ、と我ながら思う。

雨の日の二時過ぎ。客は他に誰もいない。頼んだのは上ランチと生ビール。目の前で握られた寿司が次々とカウンターに並べられていく。下駄に盛りつけないスタイルの店は、学生時代に実験の合間抜け出して女の子達と六甲道まで食べに出かけた時以来だ。あの店も震災で潰れ、今はない。
何となくしんみりとした気持ちで、寿司を一つ放り込む。酢飯が気に入らない。その酢の具合やほのかな甘み、濡れた真珠のような艶やかさ、それらが全て足りない。練り置かれたワサビも香りが飛んでおり、ネタをめくり確認しないことにはサビ抜きか?と思うほどであった。赤だしもインスタントのような風味で何とも味気ない。
とはいえ、回転寿司よりは美味く、この値段であるのだから文句を言うほどのものではない。仕事帰りに二、三貫ツマミ、ビールを自分で抜く。近所にあったのであればそんな使い方でよく利用したであろう、そんな店であった。

丸八寿司名駅店
住所:愛知県名古屋市中村区名駅4-21-5 寿司マップ
電話:052-563-0608
営業時間:24時間
定休日:無休

2008年3月22日土曜日

ファミリーレストラン ちちや@土岐

予算¥790(上かつ丼(てり)¥790)

ジョモさんと交わした瑞浪名物あんかけカツ丼についての話題。その流れにより、"ちちや"のある隣町、土岐を訪れた。その"ちちや"では甘辛くとろみのあるソースのかかったカツ丼を出すという事だった。
"てりかつ丼のために名古屋かよ lol"などと元カノには小馬鹿にされ、"イヤ、メインは寺巡りだから"などと言い訳る。だが確かに名古屋へと向かった大きな要因の一つではあった事は事実だ。

"ファミリーレストラン ちちや"
生憎の小雨の中、駅から真っ直ぐに続く道を傘も差さずに歩いていた。お昼の買い出しに出てきたと思われる2、3人の客が並ぶ団子屋を過ぎ、朝から降り続く雨により水量の増した小さな川を越えると間もなく、細い路地裏に"ちちや"の看板を見付けた。駐車場を抜け、まるで従業員口のような扉を開く。本当にここから入って良いのだろうか?と一瞬怯むが、"いらっしゃいませ"の声に出迎えられた。

頼んだのは上かつ丼。何が"上"かというとカツが"やわらかい豚ヒレ肉"になるという。パ軒もヒレ、小川家もヒレ、ときたからにはここもやはりヒレといくべきであろう。
ご飯の上には刻まれたキャベツ、カツ、その上には赤みを帯びた薄茶色のソース。その色目からケチャップが入っているのかな?と思いながら一口。かなりの甘みが広がる。そして遅れて訪れる僅かな酸味。デミグラスソースにトマトケチャップ?だがこの甘みはケチャップだけでは無さそうだ。おそらくは何か甘味料を加えているのだろう。カツはソースカツ丼に皆共通してみられる非常に細かいパン粉で揚げられたもの。この衣の香ばしさは好きなのだが、肉が良くない。切り分けられた肉の断面は黒っぽく変色しており、食感はハムに近い。臭いも少しきつく、明らかに古くなった肉であった。

それにしてもこの単調な甘ったるいソースが好みには合わない。ここも名古屋文化圏であるから名古屋によく見られるような味付けだ。名古屋は味噌文化と言われるが、俺に言わせれば甘味文化だ。何でも甘ったるく仕上げられている。そこに胡椒などの他の味覚が加われば"手羽先"や"ミラカン"のように中毒性のあるジャンキーな味わいになるのだが、甘いだけではどうも受け付けない(彼女はミラカンもイヤだと言っていたが)。
他にも味乃家、みのりや、などがあるらしいが試してみることはおそらく無いであろう。

あんかけカツ丼にするべきであったか、と思いながら、帰りはちゃんと正面から出ていく。見上げると空は益々色を失い、打ち付ける雨は更に激しさを増していった。まぁ、そんな空も今の気持ちに合っていると言えないこともなかった。

ファミリーレストラン ちちや
住所:岐阜県土岐市泉町久尻32-11 かつ丼マップ
電話:0572-55-3214
営業時間:11:00~14:30、16:30~20:00
定休日:月曜