2011年7月21日木曜日

時価な焼鳥や(天狗)

予算¥2,620(なんこつ、せせり、すなずり、ひなねぎ、各2串、アサヒスーパードライ中瓶、鷹勇 純米しぼりたて無濾過一合)

 「鳥取にホンマの焼鳥やはココしかない」
 そんな店名通りに鼻高々な話から始まった。朝びき地鶏をひとつずつ串打ちし、備長炭にてじっくりと焼上げる焼鳥専門店は、鳥取に於いてここだけだ、と熱く語る。焼鳥屋の看板を挙げる店の全ては、焼鳥屋を名乗るだけの居酒屋に過ぎない、とその名に違わぬ毒を吐く。
 この店にはメニューなど無く、壁に貼られた品書きにも当然の如く価格は書き足されていない。そしてその横に並べつなれられた「諏訪泉 大吟醸 鵬、日置桜 大吟醸 しずく、鷹勇 大吟醸 出雲杜氏 坂本」などと、軽く一杯23千円は取られそうな滅多にお目にかかれないような地酒に加え、声高々にこだわりを重ねる会話からも一層ボクの心許ない懐具合が気に懸かり、追加注文するのも気が引けていた。

 冷めかけてきた焼鳥にかぶりつきながら、「何処の鶏をつこてはるのですか?」と尋ねると、「下に赤いテープを貼っているのが鹿児島産、他のは地元の鶏を仕入れている」のだという。品書きの半分ほどにはその赤いテープが貼られ、奇しくもボクが頼んだ品の全てにそのテープが貼られていた。九州なら日向や大分でよく地鶏を食べはするが、鹿児島も良い地鶏があるのか、とその味わい深い焼鳥を摘みながらその話にグラスを傾ける。
 そろそろ地酒に遷りましょか、と、その中でも迂闊なもんを頼んではとんでもないことになるぞ、と、分相応にと慎重にと、一合1k円は超えないだろうと思える「鷹勇 本醸造 原酒」を頼んだ。すると「申し訳ありません、今切らしておりまして」と詫びの言葉を告げられた。「今の時期オススメの鷹勇 純米しぼりたて無濾過はどうですか?」に「お願いします」と間髪入れずに返したのは、せっかく盛り上がっている流れを「もう少し考えます」なんて無粋な返しでぶった切ってしまいたくなかったからで、結果的に美味い酒を味わえながらも三千円を超えない値付けに、「安いですね」と思わず返してしまった楽しい一時である。
 鳥取に来る度に有名無名な海鮮や関係を散々廻ってきたが、ようやく満足いける店に出会えた。当然、鳥取に泊まるときはまた寄る。次はビビらずガッツリいくつもり。諭吉覚悟の坂本にしずくに鵬なんて、オダイジンアソビをしてみたい。

手作りやきとり専門店 天狗
住所:鳥取県鳥取市末広温泉町111
電話:0857-24-6464
営業時間:17:00~22:30(L.O.22:00)
定休日:日曜


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